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アーミー・オブ・シーブズのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

アーミー・オブ・シーブズ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

Netflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』の前日譚。金庫破りのセバスティアン・ディーターが、ルートヴィッヒ・ディーターになるまで。

もう少し金庫破りのノウハウを見せた方がケイパー物の醍醐味が演出できたのでは。ディーターが金庫に耳を当て、慎重にダイアルを回すだけの描き方では、彼の中でどのような計算が働き、スキルが発動しているのか分からない。

リヒャルト・ヴァグナーの楽劇『ニーベルングの指環』に合わせてハンス・ヴァグナーという金庫作りが制作した四部作の三つまでを破り、次の「神々の黄昏」が『アーミー・オブ・ザ・デッド』に出てくるという構成。エモい描写が横溢しているのだが、Netflix映画らしくあらすじを述べるための段取り感が凄い。ケイパー物に期待するスペクタクル性や外連味はない。

しかし、「ディーターは金持ち子弟の学校の同級生たちで組んだお遊びみたいな強盗団で犯罪の予習をしてから『アーミー・オブ・ザ・デッド』の戦闘力と知力が500倍ほど上のプロ集団に加わったのか」という想像上のプロセスを楽しませてくれる映画ではある。そのプロセスがディーターのキャラ造形にきちんと役立ってそうなのもいい(『〜シーブス』での経験がなかったら、タナカにポリコレの何たるかを教えるような図太さは身についていなかったはずである)。
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