きらきら武士

牛首村のきらきら武士のレビュー・感想・評価

牛首村(2022年製作の映画)
2.3
村三部作の三作目。犬鳴村、樹海村に続いて次男と一緒に鑑賞。

残念ながら更に話がショボくなった。

まず最初に、脈絡や関連性に乏しい「祟り」「呪い」などの毎度の恐怖演出。
それは清水監督の「芸風」として生温かく見守れなくも無いが。それに加わる今回の
新味「牛首村」が、ほぼ文字通りそのまんまというネタそのものの弱さ。その上、扱いが雑なものだから恐怖の旨味が全然出ていない。
相変わらずエピソードは色々盛り込むが意味不明にとっ散らかったまま。一体感がない。火が通ってない、味が沁みていない。

何よりも、肝心の村の因習が取ってつけたよう。描写が雑で掘り下げが無い。まるで都市伝説。
これはもう都市伝説ホラーを唯一の手札にしている清水監督の宿命なのか。犬鳴村、樹海村でも歴史とか民俗学的な肉付けをほぼしていなかった。個人的には一番そこが工夫のしどころ、美味しくなるところだと思うのだが。

要は話が薄っぺらい。色々盛り込んでるのに誠に残念ながら。

そこにリアルに生きた人間の生活の切実さや哀しさが無いから、恐怖がただ「突然悲惨な死に方をすること」それだけの味でしか無い。
都会ではそれも成立するだろう。巻き込まれ事故、他人の突然の悪意害意にさらされて殺されてしまうかもという漠然とした不安感。
思うに『呪怨』では、「人生?尊さ?そんなの知ったこっちゃねえ!」とばかりに関わる人間を誰彼構わず見境無く引き摺り込み更に膨張していく、都会ならではの無関心、無名性の暴走が、都会そのものすら飲み込んでいくブラックホールのようで痛快だった。大いなる虚無を感じさせた。

村はそうもいかないのだ。生活や個々の人間の輪郭がもっとはっきり、くっきりしているから。
都会人がある日村に来て、え?この村ヤバくない?とするなら村(村人達)の描き方こそ丁寧にしっかり練ってやるべき。そこが恐怖の源泉になるのだから。
「突然悲惨な死に方をする」
それを都会から村に横展開して拡げても、薄っぺらい話にしかなり得ない。

三部作を観てよくわかった。
しばらく村ホラーはいいかな。

と思いつつ、福岡県赤村でロケしたという『みなに幸あれ』(監督下津優太、総合プロデューサー清水崇)を翌日に観に行ったのだった。村ホラーに終わりは無い、のか。


主演のKōki、コーキ、キムタク家の二女、は初めて知った。お父さんにすごく似てるけど普通に美人。スタイルがバリいい。演技も悪くない。が、やはりどこかお姫様的。今後女優業をするのか知らないが、ハマり役が見つかれば良いな、と思う。

#2024 #11
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