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悦楽のmayaのレビュー・感想・評価

悦楽(1965年製作の映画)
3.8
大島渚、女性というものを描くときに、抑圧され男の身勝手な思い込みと欲望の対象として力でねじ伏せられながらも、自我と人格を持った人間として、鋭い視線のショットを必ずほぼ全員分入れてくるな、と思ってたけど、本作はその試みが顕著。言葉を喋れないしょう害のある女性が最後に顎で「行きな」と指示するシーンなんて、物言わぬ欲望される女が突然、意志を持った人間だったことが突きつけられ、彼女をモノとして取り合った男たちの滑稽さが急に前面に出て痛快。
大島渚は男性監督だから、男性の目線でしか女性を取れないわけだけど、かえって「他者を描く誠実な努力、その限界と滑稽さ」が多分自覚されてて、私自身は女性なので女のことは男よりよく分かってる、と思ってたのに自信が完全に無くなった。男女という以前に、創作だろうとドキュメンタリーだろうと、視線の先にいるのが他者である以上、自分が生み出したにも関わらず、全く理解できない、こちらの思い通りにならない存在になってしまうのですね。
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