このレビューはネタバレを含みます
「変えたいけど何か分からない」
分からない、言葉にできないことってあるよね。不安で訳が分からなくて、でも父親といたい。ニコラスの自傷行為に気付いたときも一生懸命に向き合って叱るピーター。仕事ばかりで家庭を省みない祖父などアンチテーゼ、DNAもきちんと仄めかす。合理的な理由じゃ説明できなくて、他の人と違うことが重圧。人として、社会としてどう受け入れて寄り添ってあげたらいいのか。急性うつ病と診断され入院を要するニコラスを家に連れて帰ったふたり。そしてニコラスは医師の懸念通り銃で自殺…。やりきれなさに包まれる。小説家になったニコラスを想像したシーンはつらかった。
「死は待てる」
元妻である母親の悲しみ、自責とともに、いまの妻の戸惑いや苛立ちなども描かれていて家族の、子育てのあり方について考えさせられた。
ダンスをするシーンは唯一なんだか望みを感じられてよかった。