今はちょっと、ついてないだけのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

意図があってそうしているのかわからないが、構成や台詞、演出それぞれをもう少し整理できたのではないかと思ってしまった。そうすれば、何がどうつながっているのか考えることに気をとられず、純粋に作品を楽しむことができたように思う。

しかし、あえて作品にちぐはぐさをもたらしているのだとしたら、それはそれで一定の効果を上げているようにも思う。私が本作を観てまず思ったのは、良い意味で主人公がいないということである。誰を主人公とするかは観客次第で、作中の物語を紡ぐのも観客次第。つまり、観る人それぞれの観方で楽しむ余地が本作には残されているように思うのだ。

その意味で本作は自分の好みであるし、また時間を空けて観たときに自分が誰に感情移入し、何を思うのか、確かめてみたいものである。こういう噛めば噛むほど味の出る映画、嫌いじゃない。