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LAMB/ラムの5のレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
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考察を述べたいんだけどいいですか……。ネタバレもしてますので未見の人は注意して下さい。

①あれの正体(モデル)は?
欧州にはクリスマスの夜、人々が家を空けると留守を狙ってクランプスていう羊頭の怪物が鎖や鐘を鳴らしながらやってくる話あるよね?
だからまずこれはクランプスがモデルだよね?
(クランプスはサンタクロースと表裏で、裏サンタ。悪い人間を捕まえて連れ去る。)
羊の妊娠は、羊人間が羊を強姦したとかいう物理的で気持ち悪い話ではなく、むしろスーパーパワーの処女懐胎的な感じ。
ルシファー、パン、サテュロスなどの考察を散見したけどわたしはまさにクランプスだと思った。

②アダはなぜ頭だけじゃなく手も羊なのか
神話でいうと、神+神で半獣の神が生まれる。アダは神+羊だから完全な神(悪魔?)の姿で生まれなかった。いわば穢れている状態。

③アダを取り返しにきたのはなぜか?
我が子だからというより、半神のアダ(仲間)が被支配生物の人間のいいなりになって仲良くしているのが腹だたしかった。
我が子を奪われた恨みとか、母羊のかたきなら、マリアを撃つはず。
「銃は扱うが服は着てない」というのが、人間の作った文明をみくだしているけど、武器という文明の最も愚かな部分を皮肉って殺しの道具に選んだのではないか。

④ラストのマリア
妊娠を予感していて、うまれてくる子どもには死んだ旦那の名前を付けて、また生まれ変わり〜ってやればいいと思っている、絶望が深過ぎるあまりすがりついた希望がこわいというシーン。

アダがアレを見て、鏡に映るじぶんを見つめるのは「もしかしてほんとうのお父さん…」みたいな感じではなく、神性へのめざめ、本来いるべき場所がここではないということを感じている。

羊の群れの絵にクローズアップしていくシーンは、今まではもちろん自分と似ていると思っていた羊、人に支配されて群れる羊と、自分はあきらかに違うと感じたのではないか。


などを思いました。

ネット上にあまり合点のいく考察がなかったのでちょっと書いてみました。いい考察あったら教えてください。

深読みのしがいはある映画だけど、べつにそんな面白くはない。
作った人はウワ〜大自然〜不気味な民話挿入〜〜くらいのもので、いろいろ深く考えてない気もする。

あと子どもが小さいうちは、大人が全員で酔っ払ってはだめだな。
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