まーしー

LAMB/ラムのまーしーのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.0
何とも不思議な感覚に襲われるオカルトホラー。
主人公の羊飼いの夫婦二人が育て始めたのは、羊から産まれた「あるもの」。
アダと名付けられた「あるもの」は、見た目からして不気味。
コメディのような錯覚を覚えるが、大真面目に物語は進行していく。
とは言え、のどかな牧場が舞台なだけあって、静寂な時間が多い。
登場人物も3人とアダのみ。
盛り上がりもないまま、牧歌的な風景と羊飼いの生活を淡々と描いている。

独特の世界観は最後まで咀嚼できないまま。
決して難解なストーリーではない。
ただ、宗教色があり、その知識に乏しい私には、作品の奥深くまで味わうことができなかったように思う。
例えば冒頭のシーン。多くの羊たちが鳴き、うち1頭がバタリと倒れる。実はこのシーンが「あるもの」誕生への伏線となっているから驚き。
他にも、私が気づいていないだけで、多くの意味ある場面があるのだろう。

果たして、羊から産まれたアダは何なのか。夫婦が言うところの「神からの恵み」なのか。
また、羊の出産シーンや夫婦の営みのシーンは、「生命の誕生」を意識させているのか。
そして、終盤に登場する謎の物体は何なのか。
色々と考察する価値はあるだろう。

『ヘレディタリー/継承』や『ミッドサマー』のような、何とも不思議な世界観。
両作がお好きな方は、本作も楽しめるかも知れない。