せびたん

マンディブル 2人の男と巨大なハエのせびたんのレビュー・感想・評価

3.5
人間に対する優しい目線(アキ・カウリスマキ的な)を感じるところがこの監督さんの特徴なのかもなっていうことを「ラバー」「ディアスキン」からの本作鑑賞で思いました。個人的に一番好きなのは「ラバー」だけど。あれは名作だと思います。本作は佳作っぽいイメージかも。

本作の主人公はバカで教育もなくてお金もない上、親も金持ちそうではなく、真面目に何かに取り組むタイプでもなく、唯一の財産(武器?)は幼馴染の親友(主人公とほぼ同じキャラだけど親とは仲がいい)という設定でしたので、一般的には成り上がるのがかなり難しそうな属性なんだけど、巨大蠅(ドミニク。体長は推定80-100cm)を拾ったことをきっかけに、
「これチャンス来たんじゃね?」
みたいな感じで一攫千金を目論む!
というのが本作のストーリーの超絶乱暴な要約です。

他の映画で抜け目のない悪党がやるとサマになることがこんなふうになるんか?というぐだぐだ感とビックリするくらいのスケールの小ささ。および「産まれた時から資本主義とかいうゲームに参加させられてるんだから誰だってお金が欲しくなるよねっ」ていう共感ゆえのニヤニヤが止まりませんでした。
運が来たと思ったらその波に乗るしかない!という点には私はとても共感するけれど、それはホントにチャンスなの?みたいなところも面白かったかな。

ドミニク(巨大蠅)と主人公が徐々にかわいく見えてくるということが私の鑑賞中に起こりました。あとユニコーンの自転車、おれも乗りたい。

主人公が最終的にたどり着く結論が子供みたいで滑稽に見えながらピュアで尊くもあるし、生きるためのコツかもしれないというラストは秀逸ではないかと。
主人公が結論に辿り着いた瞬間にチャンスなのかピンチなのかよく分からない出来事が起こるところも好きでした。

このシーンに典型的に現れてるけど、すべてのシーンがアンビバレンスを感じさせるというか。そんな感じでしたわ。どんな感じやねん(ふんわりしすぎ問題)。

ドミニクはふたりにとっての幸運の象徴みたいな何かかな。もしくは悪魔の使い的な?(これもアンビバレンスかも)
せびたん

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