東京郊外にある小さな家。昭和26年(1951年)に建てられた木造2階建の住宅は、いま「昭和のくらし博物館」となり、当時の人々の暮らしを伝えています。館長の小泉和子さんの実家であるこの博物館には、母・スズさん(1910~2001年)の思い出がたくさんつまっています。娘によって語られる、母の人生。そこには生活の細部に工夫を凝らし、知恵を絞り、家族のために懸命に手を動かしながら生きてきた一人の女性の姿がありました。当時、当たり前に継承されていた経験や生活の知恵は、時代の変化とともに失われつつあります。母から娘へ、娘から今を生きる私たちへ。スズさんが遺してくれた3章からなる物語です。
どこにでもある毎日のくらし。昭和20年、広島・呉。わたしはここで生きている。 すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19(1944)年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の…
>>続きを読む1942年から現在まで続く、男女共学の家政学校「主婦の学校」 世界最北の首都、アイスランドのレイキャビクに、1942年に創立された伝統ある「主婦の学校」がある。寮での共同生活を送りながら生…
>>続きを読む作家のツトムは人里離れた長野の山荘で一人、暮らしている。 山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら、原稿をしたためている。 時折、担当編集者で恋人の真知子…
>>続きを読むかつて夫と語り合い、子供たちを育てた家に、今は孫娘の渚と住む絹子。夫の周忌を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死に、椿の花でその体を包み込み土に還した。命あるものはやがて朽ちる。家や…
>>続きを読む米国バーモント州。雪深い山奥にある、18 世紀風の農家コーギコテージがあった。まるで 絵本の世界に迷い込んだようなコテージには、コーギ犬と一緒に暖炉に温まり、絵を描く 1 人の女性がいた。…
>>続きを読む“小森”は東北のとある村の中の小さな集落。いち子は一度都会に出たけれど、自分の居所をみつけることができず、ここに帰ってきた。近くにスーパーやコンビニもない小森の生活は自給自足に近い暮らし。…
>>続きを読む2016年11月に始まった『この世界の片隅に』の公開からの約3年間、片渕須直監督は日本全国で行われた舞台挨拶や海外映画祭に参加していた。同時に、長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に…
>>続きを読む神戸の街を見渡す坂を上ると、その店はあった。 「南洋裁店」という小さな看板が掛けられた、古びた洋風の一軒家。 昔ながらの職人スタイルを貫く手作り一点ものの店は、日々来客で大賑わい。 神戸の…
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