nt708

スワンソングのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

スワンソング(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

この生き様はカッコいい、カッコよすぎる。もちろん、自分らしく生きることは容易ではない。特にあの時代にゲイとして生きることがどれだけ肩身の狭いことだったのか、想像も及ばない。そもそも、自分らしさとは何なのか。例えば、ゲイというのは主人公を構成するひとつのエッセンスに過ぎず、ゲイというエッセンスを彼(あるいは彼女)らしさというのはどこか違和感がある。したがって、本作をゲイとして生きる主人公の葛藤という枠組みで観るのも、どこか筋違いのような気がしてならない。

そこで本作をそういった枠組みからではなく、包括的に観てみる。するとと本作が、何歳になっても、何があっても人生は素晴らしいという人生賛歌のように見えてくる。それもさまざまな葛藤を乗り越え、年齢を重ねてきた人物が主人公であるゆえ、説得力が違う。だから嫌味も感じない。人生の先輩から「生きるっていいもんだぞ」と背中を押されているような気分になるのである。

自分も主人公のように胸を張ってよい人生だったと言えるような、人生を送りたい。彼(あるいは彼女)ができるなら自分にもできるはずだ。まだまだ人生はこれから。酸いも甘いも存分に楽しみたいと思う。
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