akihiko810

スワンソングのakihiko810のレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
3.8
アメリカ映画

現役生活を遠の昔に退き、老人ホームでひっそりと暮らすパットは思わぬ依頼を受ける。かつての顧客で、街で一番の金持ちであるリタが、遺言で「パットに死化粧を」とお願いしていたのだ。ゲイとして生き、最愛のパートナーであるデビッドを早くにエイズで失っていたパットは、リタの遺言によってさまざまな思い出が去来する。すっかり忘れていた生涯の仕事への情熱や、友人でもあるリタへの複雑な思い、そして自身の過去と現在…。ヘアメイクドレッサーとして活躍してきたパトリック・ピッツェンバーガー、通称“ミスター・パット”にとっての「スワンソング」は、はたしてわだかまりを残したまま亡くなってしまった親友であり顧客のリタを、天国へと送り届ける仕事になるのか——。

スワンソング-白鳥の歌。詩人・作曲家・演奏家などの生前最後の作品・曲・演奏をいうらしい。
ゲイ老人が、最後の仕事を全うするために、老人ホームを抜け出すロードムービー。ユーモアと人間味あふれる作品。
監督も主演もゲイらしく、ゲイカルチャーがふんだんに使われている。

パットがめぐる家や店はすでになくなっていたり、人もたくさん亡くなっていたりする。長生きするということは、「失う」ことにつきあっていくことなのかもしれない。
そしてこの作品でパットがしたように、「人生の終わり」に、自分のこれまでの人生と向き合い、懐かしみ、悲しみ、それだけでなく「今」に対しても真摯に生きる、というのは素敵な老人の生き方だと思う。

ゲイの人や高齢者なら、この作品に非常に共感するのではないだろうか。そんな作品であった。逆にいえば私はそれとは違うので、一般的な「良作」程度の感想であったのだけど。
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