このレビューはネタバレを含みます
5秒に1回ボケる笑いのカイブツ
大喜利、ハガキ職人として生きるためだけに日銭を稼ぎ紙を買う主人公からは狂信的でありながらも一つのことに真っ直ぐな情熱を感じた。
構成作家になってからは組織の中で立ち回ることを求められるが、彼にはそのための時間も能力もない。西寺に勧められ挨拶の練習をしたり、差し入れを買ってみたりするものの、形だけの人間関係はズタズタに失敗。そこには無骨ながらも社会に適応しようと懸命に動くカイブツの姿があった。
「何にも残ってない」
彼は人間だったとハッとさせられるセリフ。笑いはそもそも残るものではないが、彼はそれ以上を求めていた。名誉、幸福、女、金、物。
大衆を笑わすことを生きがいとするカイブツは大衆によって殺された。
岡山天音の緻密であり、ダイナミックでもある演技がすごくよかった。