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THE FIRST SLAM DUNKのSadAhCowのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.0
2022 年 45 本目

ドリブルこそチビの生きる道なんだよ!!!!

本編には含まれなかったリョータの知られざる過去と山王戦の 2 部構成。リョータ、実は島人だったのか! 母ちゃん苦労しすぎやろ! など新要素があり面白かったし、本編でもリョータの背景は(ミッチーとのくだりなどかなり重要であるにもかかわらず)謎な部分が多かったので、リョータ主人公ポジションは何たる俺得であろうかとうっきうきであった。

ただ、こうした新要素はありつつ、なんだかどっちつかずになってしまった感もあり。山王戦もかなりいろいろな部分が尺の関係ではしょられており(魚住まわりのくだりとか)、原作ファン、それもライト層ではなくセリフ一言一句覚えてる勢じゃないとちょっとついて行けない展開なのではと、余計な心配をしていたのだった。リョータ過去編にしぼってもっと掘り下げても良かったような気がするが……。ミッチーの 1 on 1 とかもう、めっちゃ熱いファーストコンタクトやんけ! 三井さん、あんたを尊敬してたのに! バカヤロー! からの前歯ボキッ! そして「安西先生、バスケがしたいです……」につなげれば完璧やないけ!?(妄想です)

まあ「あれない、これない」を言い出したらキリがないし、こうして原作者肝いりの最新映画を見れることじたいが幸せであるのは確か。ただちょっと、STAR WARS 続編ではないけど、オリジナルのファンにあまりに配慮しすぎているような……。スラダンの山王戦は、確実にホームラン打てる 4 番打者と絶対ハットトリック決めるストライカーを足して 2 で割らないくらいのキラーコンテンツで、これを入れたら一定数は絶対に満足するのは分かるし、原作の構図などを反映させつつ最新の技術で再構成されたゲームシーンには問答無用の満足感があるのも確かである。だが 1 本の作品としてまとまりがあるかと言われると……。言い方は悪いのだが、原作ファンがノスタルジーに浸るにはいいのだが、作品に新しい生命を吹き込むまでにはいたらず、微妙なところである。ただ、原作改変しまくり魔改造がいいのかというとそうともいえないし、本当難しいですわ。個人的には、リョータ過去編を井上雄彦の漫画で読みたいと思った。

これは本作の評価ではないのだが、今回のスラダン、実写版幽白、るろ剣(再アニメ化)と、いわゆるジャンプ黄金時代の作品がどんどんリメイクされているのは、たぶんこの世代がエンタメ業界の中核を占める年齢になってきたということの現れなのだろうと思う。リアタイで追ってきた自分の世代としては嬉しい反面、過去のドル箱が現在の主要なラインナップを占めている現状が少し不安でもある。今でも面白い作品は山ほどある(何なら昔より多い)と思うけど、鬼滅のような作品は例外として、「国民的マンガ」と言えるような作品が出づらい世の中になったのかなあという、ぜんぜん方向違いの感慨を抱いたのであった。
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