ToSh

ベルリン・天使の詩 4K レストア版のToShのレビュー・感想・評価

4.0
物語
ベルリンの街は天使たちに見守られている。彼らは人々の心の声を聞き、それぞれの苦悩に寄り添っていた。だが天使の一人ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は、永遠の霊でいることに嫌気が差し、人間になりたいと悩んでいた。ある日、サーカスに迷い込んだダミエルは、空中ブランコを練習中のマリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)に恋をしてしまう。天使としての“死”を意味する事と知りながら、ついにダミエルは天界から降りることを決意する……。


壁崩壊以前のベルリンを舞台に、天使の世界をモノクロ、人間の世界をカラーで表現した映像美と、後にノーベル賞作家となるペーター・ハントケによる詩的な脚本で紡がれる壮大な映像詩。

中年男の姿は天使という言葉からくるイメージとは、かけ離れた感もあるが、モノクロの映像美の中に、彼の落ち着いた佇まいが映える。

ヴェンダースが本作を捧げ、彼に多大なインスピレーションをあたえた 3人の巨匠、小津安二郎、フランソワ・トリュフォー、アンドレイ・タルコフスキー。
本作ではダミエルが天使から人間になった時を境に、モノクロ映画がカラーへと変わるが、モノクロ時の映像の詩的な美しさは、これらの巨匠たちの作品にも通じる。


こぼれ話
世界中で大ヒットした本作は、6年後に続編『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(93)が作られた。
1998年にはハリウッドで『シティ・オブ・エンジェル』としてリメイクされている。


午前十時の映画祭14にて鑑賞
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