試写会にて
藤井道人監督が余命ものを撮ると言うことで楽しみにしていた。
質感や色調は監督のカラーそのままに、柔らかなタッチで小松菜奈演じる主人公の茉莉の心情を丁寧に追っていく作品で良かった。
解決方法のない難病で10年生きられるかわからない。
そんな中で出会うのが坂口健太郎演じる和人。
出会った頃の和人は死んでいるように生きているような状態。頼りなげで子犬のようなのですが、そんな和人をいつしか茉莉は愛おしく思うように。
しかし、余命があるためその想いに踏み切れない。いろんな思い出を作るものの、一筋縄ではいかず。優しさ故の不器用さが見ていてもどかしく見るものを苦しくさせる。
余命10年、さまざまな葛藤がある中で周りの人に支えられて最後には感謝を伝える姿には涙を禁じ得ない。
茉莉の想いが爆発した瞬間は大号泣必至。
小松菜奈の演技が光る。
物語としてはベタではありますが、要所に光る演出や展開が、余命ものにおける過剰な演出にならないように配慮されているように感じ、良い塩梅だった。ちょっと泣かせすぎではあったが。
子犬時代の坂口健太郎にはただ、リア恋です。ちょっと頼りなさすぎてキメ台詞が決めきれてないのが玉に瑕。
ちなみに主人公の友人役で三浦透子が出ているがとても贅沢使いである。
ぜひハンカチをご用意して劇場へ。
余談:
小松菜奈が泣きながら物をまた食べさせられていた。『糸』の名シーンであるカツ丼シーン再び。