本当に悲しくて辛くなる映画で、その意味で良い映画。一方で、その良さはテーマにあり、このテーマを選んだ時点で、正直ある程度のものは撮れてしまう。だから、内容はある程度良くても、映画として高い評価をすることはできない。ストーリーは予定調和的であり、期待を裏切られることはない（この点は、同日に鑑賞した「湯道」と同じである）。唯一演出上の良かった点は、茉莉の死のシーンを描かなかったことで、この点は重要かと。
桜のシーンは急にスローモーションになって、安っぽすぎて笑ってしまった。それでも後半はちゃんと悲しかったし、泣きそうにはなりました。ただこの泣きそうになるというのもやはり、定められた余命というテーマを超えるファクターによるものではない気がします。
あと、登場人物が全体的に「美しすぎる」んだよな。見た目が良いという問題ではなくて、みんな不完全な点も含めて「美しすぎる」気がしました。
主人公が小説の才能があるというのもなぁ。なんか使われすぎている設定な気がして、あんまり好きにはなれない。文章で何かを伝えるというのは映画的ではなく見える。
小松菜奈のやけ食いのシーンと、その後のもどすシーンがとても良い。こういうところは小松菜奈の良さですな。あと、膨大な数の薬を振り分けていくシーンも良いね。家族とのやりとりもとても痛く、それが良い。
あと、店の名前を「まつり」にするのはちょっとなぁ…
