Godfather

イノセンツのGodfatherのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.0
ノルウェー語の映画って「ウトヤ島、7月22日」と「わたしは最悪。」しか観たことないけど、本作も「わたしは最悪。」と同じ監督なのだそうだ。それもあってか映像も音楽もすごく上質感があり、「ミッドサマー」のような明るく美しい映像にもたがわず不気味で後味の悪い映画なのではないかと期待が高まる。

きっとこの眼光の鋭い少女イーダが超能力に目覚めとんでもないことをやらかす映画なのだろうな!と思って見始めたのだが、実は主人公のイーダ自身は超能力を獲得しないのだね。なので超能力を持たぬ常人の観客としては自然とイーダ目線で映画を見ることになる。

期待通りに後味の悪い不気味な映画ではあった。
たぶん超能力を得る少年少女のうち、少年ベンのやることがあまりにも加害的すぎて見ていられないからだろう。
まだ分別のない無垢な子供が強大な力を手にしたらどうなるかってのがテーマなのかもしれないが、それにしてもここまで加害願望があるのは異常だろう。
暴走しはじめたベンは、オーメン2で自分が悪魔だということを受け入れ開き直ったダミアンのようでもあるし、ダークサイドに堕ちたちびっ子ジェダイのようでもあり、だんだん手がつけられなくなっていく。
でもベンは超能力を得る前からそういうところがあって、猫を虐待して殺したりなんかしてるんだよね...

最初はそれにつきあってたイーダもそういうところはある。(自閉症で)反応しない姉のアナをつねってみたり、靴にガラス片を入れて怪我させたり。さすがにベンのやばさに引き始めてからのイーダは面白かった。超能力がないなりに知恵をつかってベンを○そうとするし、最後は姉と共闘(?)する展開も熱い。
ベンと対抗できるほど強大な超能力をもっているのが自閉症の姉って展開もいい。

しかし物語はやはり後味が悪い。あのベンだって身体にあざがあるし、児童虐待の被害者でもあるのだろう。
姉もアナも一時期奇跡が起こったかのように思えたが、結局最後は元にもどってしまったようでもあるし。

最初にも書いたがノルウェー映画って見慣れないから面白い。
アメリカともイギリスとも違う、もちろん日本とも違う団地の風景とかすごく新鮮だ。
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