大阪西成区で暮らす父と娘。うだつの全く上がらない父がある日「全国で指名手配されている殺人犯をみた。捕まえたら300万もらえる」そう言い残し娘の前から姿を消す。娘は父を探すために行動を起こすが…
うーん…町山が本作を褒めてたので、結構期待してみたのだが、「普通」であった。いや、「普通」というよりいいところ悪いところがいびつな感じで混在し、平均にならすと「普通程度の出来」な作品になった、というべきか。
本作は分類しずらいが、一応クライムサスペンスとしておこう。
良かった点。娘役の女の子がパワフルな行動力で、とくに西成の街を、犯人をチャリで追いかけるシーン。これはよい場面だった。
悪い点。安楽死や自殺ほう助といった「社会派」な部分を盛り込みながら、殺人犯人がどことなくありがちなシリアルキラー像になってしまったことで、社会派ではなく「質の悪いエンタメ然」とした出来になってしまったこと。物語後半部の「謎解き」のエンタメ性（驚き）を重視するあまり、社会派としての「重厚感」が若干おざなりになってしまったように感じた。社会派を盛り込むなら、もっと丁寧に脚本を練るべきだったように思える。
まあ、悪い作品ではないのはたしかだが。
