このレビューはネタバレを含みます
暴力的男性により家に閉じ込められ、<貪り食う母("devouring mother")>により懐柔される恐怖を描いた作品。
石箱は産道と子宮の比喩にも見える。
叔父のベト氏はいい人だが、求められたとき素直に金を貸してあの家には迎えに行かなかったら死なずに済んだのに…と思わなくもない。金銭的援助の方が手間も時間もかけた助けより確実に力になることがあることの寓話か。
長い間不治の病の母親を介護し看取ったあと、アメリカン・ドリームを求めてメキシコからクリーブランドへやってきた女性が主人公。
友人だと思っていた黒人女性からなけなしのお金を持ち逃げされ追い詰められるのが後の展開よりも恐ろしかった。
後半のホラー展開よりも、前半のタイトロープを綱渡りするような不法滞在者の生活描写の方が怖い。中盤では、一度手を離れた金がなかなか返ってこないことでサスペンスを作り出している。