牛飼いの老人と洞窟探査隊の話。まだテレビが白黒のブラウン管だった時代の出来事を俯瞰のショットを多用して撮影したドキュメンタリー風の再現映画。
638メートルという当時では世界第3位の深さであった未踏の洞窟を探査する摩訶不思議な映像に終始釘付け。あんなに縦長に深い洞窟を初めて見た。洞窟の中に入るとスクリーン一面が闇に覆われ、探査員のヘルメットのライトが照らす周辺だけぼんやりと橙色に染まる。基本目を凝らして見ないと何をやっているかわからない、エンタメとは真逆の不親切な薄暗い映像なんだけどめちゃくちゃ魅惑的なのよね。
洞窟内のフィールドレコーディングの音響効果もあってついつい気持ちよすぎて睡魔が襲ってきそうになるんだけどその度に探査員の指笛や地上との大声のやり取りによって起こされるという心憎い演出（笑）初探査のはずなのにその行く手には必ず迎えてくれるカメラが待ち受けているというシチュエーションにもいちいち混乱していた。このドキュメンタリーとドラマの間の曖昧なざわつき加減が面白いよね🤭
どうでもいいことだけど、牛飼い老人の顔に刻まれたシワの深さと洞窟の深さがかかっているのか気になる。
