Acne

ちょっと思い出しただけのAcneのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.3
「鳥貴、鳥貴、また鳥貴!!」

可愛くないのに何故伊藤沙莉は最近活躍しているの?という人は今作を見れば、彼女の魅力が嫌でも分かるだろう。

91点

「それでも人生は続いていく映画」にまた名作が誕生
素晴らしかった。

松井大悟監督は「君が君で君だ」辺りで才能の片鱗を見せはじめ、「くれなずめ」で殻を破りかけ、今作で完全に覚醒。・・っといってもいいだろう。

監督デビュー作「アフロ田中」の舞台挨拶で主演の松田翔太に童貞とイジられていた頃が懐かしい。
(※舞台挨拶童貞暴露事件の詳細は下記リンクより)
https://t.co/fZUWvpEdNK

ちなみに童貞を卒業したのが28歳で、28歳で童貞を卒業した人間がよくここまで素晴らしい恋愛と人生を断片的に切り取った映画を作ったなと勝手に人一倍称賛している。28歳で童貞を卒業したクセに。
(※いじりたくて、あえて多めに連呼しております。)

今作は森山未来主演の「僕たちは〜」と同様で現在から徐々に過去を遡っていく構成だが、今作の方が質的には上。
(※「僕たちは〜」も良作)

物語が描き出す題材的にも昨年話題になった「花束みたいな恋をした」と比較されそうだが、
今作の方がより内向的で物語としての登場人物において大きな起承転結はなく、普遍的な人生を表現しているような気がする。

人生は失恋などの何か大きな出来事を経験したからといって、必ず何か報われたりする訳ではない。

後、「街の上で」が好きな人は今作も必ず好きだと思う。
今作の方がどこか切ない物語ではあるが、作品の空気感と独特の間を使った笑いのとり方に通ずるものを感じる。

時間経過を人間関係の変化、会話や間取り、仕草の一つ一つでさり気なく表現していく演出もいいし、
二人の結末が分かっているからこそ、時間を遡った時の二人の時間がより愛おしく感じる。
今作、伊藤沙莉の魅力が爆発している。凄く愛くるしい。

彼女としての魅力的な所作も見事だが、緩急あるコメディ的な突っ込み的センスも見事。
伊藤沙莉が所要メンバーのコメディ映画も見てみたい。

勿論、主演の池松壮亮も素晴らしかった。

二人の会話はずっと聞いていられるほど魅力的で、ココまで俳優の素の魅力を活かしきった映画はそう多くない。

後、ニューヨーク屋敷がハマり役である。
今作、登場人物全員の配役がハマり過ぎ。

皆良い味出しすぎ。チョイ役の成田亮も良かったです。

國村隼は今作では同性愛者役という変わった役を演じているが、チョイ役でも彼が出演しているだけで作品全体がキュッと引き締まりますね。
彼のセリフは何気ない一言でも、深みがある。

多分、私の2022年新作映画ベスト10に入るだろう
既にもう一回見たい
文句ナシにお勧めである。
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