まるたけ

帆花のまるたけのネタバレレビュー・内容・結末

帆花(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見る前は、つらくて見てられないかもなんて思ってたんですが、帆花ちゃんとご家族の暮らしは思いのほか穏やかで、幸福そうで、引き込まれました。

冒頭でお母さんが言います。医者には脳死と言われたけれど、娘は自分の呼びかけに反応するんだと。たしかに帆花ちゃんの吐息は一定でなく、なんらかの意思をはらんでいるようにも見えます。でも映像だけでは判断がつきません。はたして、お母さんの言っていることは本当なのか? たんなる思い込みなのか? このちいさな疑問が、終盤への意外な伏線になっています。

一面的には「医療的ケア児のドキュメンタリー」と括られそうな映画ですが、当事者や関係者でなくとも見やすい、普遍的な作品になっていたと思います。なぜなら、この映画が結局のところ「大切な家族と意思の疎通ができない、その隔たりを描いたドキュメンタリー」になっているからです。おそらく認知症の家族を持つ人にも、引きこもりの家族がいる人にも、ただ家族とうまくいってないという人にも、刺さる部分があるんじゃないでしょうか。

そして、、、映画の終盤、伏線が回収されるくだりでは、奇跡を目の当たりにしたような感動がありました。この「うさぎ」のシーンは、ほんとうに美しかったです。
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