Kota

メタルヘッドのKotaのレビュー・感想・評価

メタルヘッド(2010年製作の映画)
3.6
“人生は雨の日の散歩。濡れて歩くのも自由。”

母親を事故で亡くし、とてつもない喪失感の中で生きる少年の元に突如現れたのは、イカれたロン毛のヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)だった。気づけば彼は家に居候するようになり、奇妙な日々が始まるが…。

誰ですかメタル・へッドとかいう邦題つけたのは。おかげでヘヴィメタうぇいな映画かと思ったらなんと繊細なヒューマン映画だったことか。何かを失う事とそこから再生することのできない人々が、それを克服する手段を言葉ではなくヘッシャーという天真爛漫な人間で表現する。画面全体に充満する喪失感は気がついたら温かい気持ちに変わり、ラストシーンでは胸が熱くなる。

助演のナタリー・ポートマンとレイン・ウィルソンも良い味を出しているし、なにより“500日のサマー”と“インセプション”の間にこんな作品に出ていたんだと驚かんばかりのジョセフは今回も存在感が凄い。何が良いとかじゃなく、なんとも言えない雰囲気と魅力がある作品。眠れない夜にどうぞ。
Kota

Kota