なつ

四つの壁のなつのレビュー・感想・評価

四つの壁(2021年製作の映画)
3.8
イラン出身のゴバディ監督の最新作。
フォロワーさんが、この監督の“亀も空を飛ぶ”イラン映画では大好き!と聞いていたので、楽しみにしていた。
私は初めましての監督ですが、とても好きな作品でした。

クルド人音楽家のボランは、海が大好き(でも一度も見たことない)妻の為に、海が見える部屋を購入し、ローンを支払い……やっと妻子を呼び寄せた!!
これから明るい未来が!からの悲劇。
そして、部屋から海が眺められなくなり、偽物の海の大弾幕が掛けられる…
ボランの失意、失望、怒り、喪失感…
全ての感情がない混ぜになって、画面を通してこちら側に伝わり、私は一緒に震えた…。
常に彼に寄り添い続けた黒ラブワンコが、健気で可愛すぎる。
本作は共感できない方が多いようだけど、音楽家仲間たちも好きだった。
四つの壁……四つはどれを指すのか全てはわからなかった。
クルド人というバックボーンがあるのだろうけど、まだまだクルド人に関しては、私の理解が進んでいない。残念すぎ…。

以下、蛇足。
10年程前にトルコに行きました。
世界一、ニの親日国家故に、親切です。
朝は、モスクから礼拝告知が大音量で流れてきて、ホテルの室内にいても叩き起こされた。
レストランでは音楽家が演奏してくれた、沁みたなぁ。
アジアとヨーロッパが融合した不思議な風景。
マジックアワーの時間帯の海の美しさが沁みて、本作で思い出し泣けてきた。
なつ

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