ヒンドゥー教の聖地ヴァラナシを舞台にした宗教間の軋轢を描いた作品。イスラム教徒なのにサリーを織って生計を立てる男、イスラエルからのツーリストの女性、耳が不自由な娘を育てるダンサーのシングルマザー。その3人を軸とした群像劇。
過去に侵略によってヒンドゥー教や仏教の寺院が破壊されその上にモスクが建設された聖地ヴァラナシ。その大昔から続くヒンドゥー教徒の恨みや怒りの矛先にされてしまうムスリムの若者の視点から物語が描かれている点が新しい。
絶えず街中に轟く宗教的な政治演説、ガンジス河で行われる祭事をスマホで撮影する大勢の観光客、手織りのサリーを巻かれたマネキン。リアルで秀逸なイメージの数々。ボリウッドのミュージカルではなかなかお目にかかれないインドの現実が垣間見れる。
ラストシーンは辛いしやるせないよ…。