外面は普通のヴェネチアの街並みだけど、内面はオーバーツーリズムに対する市民の嫌悪感情が募りに募って過剰な抗議活動に発展する一種のディストピア的な世界観の居心地の悪さ。最初は「そこまで目くじら立てなくても…」と思ってたんだけど、観光客グループがしっかりマナー違反を行うので同情できなくなる。ただ、景観を荒らすとかモニュメントを破壊するとかそう言った類のマナー違反に比べると軽微なもの(と言ってはダメかもしれないが)なので、そこが「どこまでがオーバーツーリズムなのか」という問題提起の側面を担っているのかもしれないけど、ストーリー的には中途半端だから観光客側か仮面集団どちらかに感情移入させる作りにした方が楽しめただろうなとは思う。ホラーを期待すると「なんか違うな〜」になるけど、個人的にはドラマに寄せる後半の展開はそこそこ好きだったし嫌いにはなれない。思い出したかのようにホラーに戻るマレン劇場の仕掛けも少し好き。
