KentaNarafu

星になるまでのKentaNarafuのネタバレレビュー・内容・結末

星になるまで(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

珍しく台湾の映画を観た。端的に言ってこの作品で最も光るのは、ソーシャルワーカー(ジミン)の描き方だと思う。
世の中に社会福祉をテーマにしたりソーシャルワーカーが登場する映画は多数あるが、ここまで共感できる描写がある映画もなかなかない。シンシンとシャオチンの姉妹が不遇な状況に置かれ、それを「『安全』という名の『排除』」でどうにかしろと行政に狭る市民と一部マスコミ。その突き上げの中で、本人たちのことを一所懸命に考えて最善の行動をしようとし、悩み、苦しみ、それでも信念を貫きたいという意思を感じさせるジミンの描写は、唯一無二の表現力を見せる。この映画はソーシャルワーカーを観るための映画だ、と言って過言ではない。

ただ残念なのは、ストーリー自体はとてもシンプルで分かりやすく、展開もまあ読めてしまうこと。そして何より、場面の展開方法に無理があるところが多く、映画というフィクションであっても「そんなことあるかいな」と突っ込みたくなってしまう点もちらほら。そんなこんなで、一つの映画作品として観た時の評価は高くなく、むしろやや残念な感さえある。しかしそれを補って余りあるほど、この映画のソーシャルワーカーの描写は光っている。
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