けんいち

なぎさのけんいちのレビュー・感想・評価

なぎさ(2021年製作の映画)
3.2
予告編を観て気になっていた作品。
初期岩井俊二作品みたいのを予想してたが少し違った。
死者の記憶に取り憑かれてしまった青年の話です。
意図的に時系列を解体して観客を混乱させる作りになっているが、それが成功しているとは言い難いため物語の流れを掴むまでは困惑気味に観てました。

しかし話が見えた後はとても興味深く鑑賞できました。少年と少女の生々しい息遣いと囁き声が今も耳の奥に残っています。

物語の核心となる部分を省いて描かないスタイリッシュな演出は上手くいってる所とそうじゃない所が混淆している印象です。

実はかなり胸糞な話なのに、重要な場面を描かないことで甘く蒼い記憶のように見えるのは成功している部分でしょうか。

全編夢の中のような作品世界はラース・フォン・トリアー監督の長編デビュー作「エレメント・オブ・クライム」連想しました(それは褒めすぎか🙃)