けんぽん

オッペンハイマーのけんぽんのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

65mmモノクロIMAXを本作の為に開発したお陰で、カラー版IMAXとの凸凹感がないように感じた。オッペンハイマー視点はカラー、他者視点のモノクロ撮影と、モノクロ=過去という概念から外れた作り方をしてて面白かった。時間軸をぐちゃぐちゃにして(ロバートダウニーJの公聴会シーンはおそらく3つの時間軸で一番新しい?のにモノクロ)難解さは相変わらずだが、一歩間違えれば退屈な伝記映画になっちゃうような脚本を、大衆向けに昇華したノーランは流石だし、オスカーもようやく受賞できて報われたところが嬉しい。
メイン3つの時間軸を見事に繋ぎ合わせる編集は勿論とんでもなく凄いし、身体が震えるような音圧には鳥肌がたった。キリアンマーフィーはもはや演技超えて本人だった。
原爆の父としてよりも、むしろ赤狩りについて焦点が当たっている映画であり、オッペンハイマー自身も反対の意見を述べていたりと決して原爆賛成映画になっていなくて、長らく日本で上映が決まらなかったことに理解に苦しむ。視点の違いで物事が違って見える事象は落下の解剖学然り、現代にも同じことが言えると感じた。
SFのノーランにとって、オッペンハイマーは新しい挑戦だった思う。本作はノーラン映画のベストではないのかもしれない。だけどハリウッドでトップを走り続けているノーランが本作を作ったことに今があるし、今後の映画界に新しい道を切り開いてくれてる。それが本作が作られた一番の意味であるように思う。
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