ブラック

オッペンハイマーのブラックのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

IMAXで観た。怖くて辛くて悲しかった。

日本の扱い方、命や痛みへの想像力の欠如を批判する人も多くいる。

でも、あれがリアルだったのだと思う。一旦戦争に巻き込まれたら、止められない。一種の高揚感や、科学への好奇心も後押ししているのかもしれない。そして自己保身。(だから我が国のして来た事、自国の兵士らの命も軽んじていた事も忘れてはならない)

とは言え、広島や長崎の痛みを知っている私達には、悲しみを通り越え、人間への絶望感すら覚えてしまうのだった。

時系列がパッチワークのように、断片的に夢なのか、うつつなのか?も入り混じりながら進む展開は、3時間を全く長く感じさせなかった。

分からないからこそ考える、考え続けさせてくれる。

トリニティ実験の成功を、携わって来た人達は皆やっぱり喜ぶんだね…と。暗澹たる気持ちに。その先への想像力、落としたらどうなる事か、しかもその犠牲になるのは、市井の人々だという事は、自分の脳内からシャットダウンされてしまうようだ。

オッペンハイマー、彼は不器用で人の心が読めず、どんどんと非常に不安定な精神状態に陥っていく。

あの音と地鳴りに、私も罰せられているような気持ちになった。

今の世界状況は、私達にこれからの歩みを問う。あそこにいた科学者達と自分達は、どれだけ違うと言えるのだろうか。

覚え書き
・ストラヴィンスキー「春の祭典」LPレーベル、日本語→母が鑑賞し確かめて来てくれた。字幕で出たそうなので、レーベルが日本語だった?は、私の勘違い。
・ピカソ←ナチス、モダンアート弾圧

・J-13名札
・エンドロール スカルプチャー/マイコチバ

追記
・自分にも愛国心があるのに気付いた…という人の感想になるほどと思った。
・京都…の場面に怒る人が多いけど、私はあぁこの人が広島も長崎にも、来てくれていたら…と、思いながら泣きそうになりながら、観ていました。
・原爆の実相を描いていない…という意見も多い。けれども私の頭と心の中には、押し寄せて来ていた。あの音とテンポで。本当に恐ろしかった、と同時に自分も断罪されているような気持ちになった。
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