ニシ

蝶採りのニシのレビュー・感想・評価

蝶採り(1992年製作の映画)
4.5
電車が画面右から左へと流れ込んでくるファーストカットの雄大さ、水流を調節する労働に従事する男から美しい池と舟に抵抗不能になった。

タバコを吸いながら仕事をする使用人のところに帰ってくる老婦人その2人の謎のカットバック。息子とアフリカ系の女性の夫婦の言い争いを男の使用人がテーブルメイクの動きに合わせてカメラが動き決定的な卵を投げつけるアクションに入るとカットバックになる遊び心。城の主人が手紙を読んでいると、おそらく彼女の旦那が亡くなったであろう処刑シーンが挿入され、その旦那が城の中を亡霊として主人の元へ向け歩き出す、主人が旦那の気配を感じその象徴であるようなタバコを燻らせそのまま亡くなる。この死に様は個人的に好き。タバコの気配を感じた後、表情を捉えようとしてすぐ彼女の後ろにカメラが回り込み手紙を散乱させ亡くなる表現は大事にしたい。

基本朝のライティングと空気感が漂う本作の中で、唯一夜の葬式後の食事のシーンでは喧嘩が起きてしまう。その後、娘が男性の亡霊の気配を感じ書斎の扉を開き、美しい脚を官能的に伸ばしながらタバコを吸う美しさ。
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