koss

蝶採りのkossのレビュー・感想・評価

蝶採り(1992年製作の映画)
3.6
移動する列車と降り立つ人のオープニング。田舎の城館に住む有閑階級の老婆の気ままな生活は突然に崩壊する。女主人の死がもたらす遺産相続、電車爆破、城館売却。シリアスな出来事が連続する。

フランスの田舎、パリ、ロシア、バブル景気の日本人不動産屋。長い歴史の終焉は、まるで胡蝶の夢のごとく。二重露光の馬、戦死した軍人のビリヤードという幻。葬儀に列席する女たちの花束と相続の期待を裏切られて早々に帰る車。教会に集まる人々の自転車と日本人不動産屋の自転車。

最後は列車に乗り田舎を去る老婆の後に、バブル景気の悪趣味で塗り変えられた城館の門が閉じられる。シニカルなユーモアと対比される映像がゆるやかに展開するが、人間の思惑や行動を笑い飛ばしても、重さを軽く見せて肩すかしする、暖簾に腕押しがイオセリアーニなのかな。

ラストの城館の前面にタペストリーのように、オター(監督)、ウィリー(撮影)、マニュー(美術)の三人の名前がカタカナで書かれているのは、やり過ぎで閉口する。
koss

koss