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やがて海へと届くのkassyのレビュー・感想・評価

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
3.2
試写会にて

親友を失った苦しみと喪失感。
時が経ち亡き者にしようとする者たちへの反発を覚える主人公だったが…

あらすじでは特に明記されていないが、親友の亡骸がまだ見つかっていないので受け入れるに受け入れられないというのが非常に大きなポイントとなっている。
親友が遺したビデオカメラを見ながら喪失と向き合っていくのだが、後々親友は一人旅をしている最中に行方不明となっていることがわかる。
あれだけカメラを撮ることが好きな人が果たして置いて一人旅に出かけるだろうか??甚だ疑問である。
監督のアフタートークによるとただ記憶装置としての機能のために後づけをしたようなので、違和感がどうしてもある。
絶対に忘れない。

また、後半ではすみれ目線で今まで見てきた場面がリピートされるのだが、特に新しい発見がないのも手伝って冗長感が強い。
どんなに近しい人でも、知らない側面がある、その人だけの視点があるという事を伝えたいのはわかるのだが、
この構成で行くならハッとさせられなければやる意味がないのでは?もしくはもう少しテンポアップするか。
ただ同じことの繰り返しになってしまっており、かいつまんで欲しいと感じるくらい長く感じた。

またラストの一人一人のカットも正直いらなかった。
やりたい事はわかるが実際の被災者のインタビューや顔が亡き友人への想いの軸がぶれた気がした。

アニメでの表現は美しくて興味深かった。
しかしこれも冒頭も終盤も若干長い。

風景は美しくて浜辺美波ちゃんと岸井ゆきのちゃんの組み合わせも良く、途中までは面白かったが、やりたい事を詰め込んだ結果、後半評価がどんどん下がっていき中途半端な印象になってしまって残念だった。
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