ベビーパウダー山崎

アウトサイダーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1981年製作の映画)
3.0
(おそらく)本物のキチガイ病院での撮影から始まる初期のタル・ベーラ。素人しか使わず、ドキュメンタリーを骨組みにしてフィクションで肉付けしていく、まあそれなりによくある手法。静寂な長回しなど微塵もなく、結構人間に寄ってはガチャガチャさせている。根っこは俗なのに格好つけたような撮り方をしている本作以降の作品より、だいぶマシ。
「人間の弱さと過ちと裏切り」よく覚えていないけど、タル・ベーラ映画って大体これじゃない?
鳴かず飛ばずの表現者崩れが、だらしのない生活と最下層の現実から目を背けてバイオリンを弾いている。ろくでもないが、自分で選んだ人生なのだからしょうがない。うるせー音楽が鳴り響くなか夫婦で怒鳴り合って喧嘩しているくだりがリアルで良かった。俺の親もこんな感じで、しょっちゅう町中で言い争いをしていた。嫌な思い出。