このレビューはネタバレを含みます
撮影地はノースカロライナ州だが、「デンバー」という看板が出たので、コロラド州を舞台にしている設定だろう。
それも含め、ところどころにスティーブン・キングの影響を感じる(『シャイニング』のオーバールックホテルはデンバーにあるという設定)(追記: 原作者はキングの息子ジョー・ヒル)。
イニシエーションとしてのホラー体験とか、黄色いカッパを着たフィニーの妹とか(こちらは『IT』)。
イーサン・ホーク演じる"ザ・グラバー"のビジュアルは満点なんだけど、キャラとして掘り下げられていないので、単なるゲームの悪玉感が否めない。彼がフィニーに仕掛けるゲームのルールもなんだかよく分からない。グラバーにより5人の少年が拐かされ殺されている訳だが、各事件の間隔がハイペースで"killing spree"と言ってもいいほどだ。体感的に数ブロック内の話と思えるのに、なぜ警察は捕まえられないのか。無能すぎるのでは…。
人の体験したことを夢で見る妹と同じようにフィンもまたある種の霊媒体質で、黒い電話を通じて幽霊の声を聞くことができる。グラバーの犠牲者たちは、次の犠牲者に自分が道半ばで挫折してしまった脱出方法を伝えようとするが、これまで誰も聞こえなかった。それをフィンだけが聞くことができる。彼らの言うことに耳を傾け、対策を練り、最終的にフィンは脱出に成功する。
ロビンに指南され、黒電話を武器として使う練習をする場面は胸熱である。彼らが言及するブルース・リー映画からの影響も感じる(ブルースというキャラもいるし)。『悪魔のいけにえ』と『ドラゴンへの道』への言及あり。
たくさんの少年の死体の上にフィンの生存が成り立っているという結末には苦いものを感じた。