チスッッッ

ウーマン・トーキング 私たちの選択のチスッッッのレビュー・感想・評価

4.0
2010年にボリビアの集落で起きた大量の性的暴行事件から着想を得た作品。
奴隷のような男女格差に限界を迎えた女たちが、男が村に不在の2日間で「何もせず赦す」か「残って闘う」か「村を出ていく」かのいずれかを選択するために議論をする、というストーリー。

同じ被害者といえど、それぞれ異なる想いを持つ人間同士が膝を突き合わせ、暴力無し・対話のみで前進を試みる様は、まさに民主主義のあるべき姿と言える。

グレタが娘のマリチェに謝罪するシーンがこの作品の核心で、村の長年の歪な構造は見方を変えると女性が今まで「何もせず赦す」という選択を取り続けてきた結果でもある。もちろん宗教や教育の面で女性の考える力が奪われていたため仕方のない選択だが、男性に立ち向かわないことの代償として多くの女性の魂が蝕まれていたのだ。

今の社会でも近しいことは多々起きていて、この作品はいつか私たちの身にも起こるであろう(もしくはすでに起こっている)未来に対し、公平に立ち向かうための勇気と希望を与えてくれた気がします。