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フルーツバスケット -prelude-のSUのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

フルバに登場する台詞達や透の行動は綺麗事や偽善にもみえ兼ねないものだが、物の怪憑きや草摩家という設定が人々のトラウマや闇の水準を底上げする様に巧妙に絡まるため大振りな善や正の表現であっても説得力が生まれ、違和感なく心に突き刺さりいつも泣かされる。
KVにある浜辺の足跡を確認した時既に涙腺への一斉放火が始まっていた本作。透が持つ尋常ならざる優しさや強さ、慈愛の深さは両親の無上の愛と死が影響しているわけだが、その両親である今日子と勝也の馴れ初めと死、特に本田勝也という人間を知ることができた。
この男、「気付いてるに決まってるだろう?」や「ガキぃ」、「俺を選べ」など普段の気さくかつ冷笑的な敬語が突然タメ口になり真摯になる瞬間は男の自分でも卒倒しかける程の色香、魅力がある。
勝也が通常敬語で話すことがわかり完全に透へ影響を与えているし、透の天然さや頑固で見境の無い部分は勝也が今日子の実家に乗り込んだ時に見せた破天荒さに通じているため、親子の繋がりを感じることができ非常に良かった。
今日子は言う「透は、あんた達は、どれくらい道に迷って、どれくらいの時間をかけて自分の答えに辿り着くのかな。幸せになって。どうか、どうか。どうか」 由希も夾も透も皆も多くの困難と向き合い、戦い、逃げ、悩み、道に迷ってしっかりと自分の答えに辿り着いたのだろう。最後、美しい景色の中、夾の穏やかでどこまでも優しい声と透の際限ない笑顔を見て、2人が愛し愛され今本当に幸せなのだと、同時に透に関わる全ての人の未来が幸せなのだと信じることができ、この長きに渡る物語が見事に大団円を迎えたことへの感嘆で落涙とめどなく辛い(ほぼ泣いてた)
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