ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

地獄へつゞく部屋(1959年製作の映画)

3.5

元はと言えばヴィンセント・プライスの過剰な愛情表現が問題だったのではないかという気もするが、その「お化け屋敷」にタネも仕掛けもしっかり用意しているウィリアム・キャッスルは真面目な作家。迎えの車が霊柩車>>続きを読む

フィッシング・ウィズ・ジョン/FISHING WITH JOHN Episode 1 【ジム・ジャームッシュ編】(1991年製作の映画)

3.0

同級生の友達と釣りに行くというより、クソガキのジョン・ルーリーが頼れる兄貴ジム・ジャームッシュにイチャイチャと甘えている感じ。ジャームッシュがダラダラと喋る「イルカに胸を突かれた女性の話」がこういった>>続きを読む

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

3.5

キチガイが遂に夜の街に放たれる終盤が好き。不躾に売春婦に話しかけ、売春カフェでのポン引きとの生々しいやり取り。その店に紛れ込んだ熱心に布教するおっさんを壁に投げ飛ばす夜の住民の如何わしさと暴力。それら>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

2.0

ホモソ全開に女性蔑視しまくる定型でしかない最悪な兵隊らが虐殺され、強すぎる母が生き延びるのは、一見すると男たちが勝手に始めた戦争そのものを否定しているようにも見えるが、その反面、これからの戦争は女性も>>続きを読む

セイント(1997年製作の映画)

2.5

週末に大味な90年代アメリカ映画を見るノスタルジア。適当な空撮(NOドローン)のエンドロールとか見ると、映画の良し悪し関係なしに心がギューとなる。
変装と泥棒のプロ、ヴァル・キルマー。どれだけ変装して
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

ビデオカメラを通しての父との思い出。空港でのラストふくめてドワイヨンの『家族生活』とよく似すぎている。アメリカ人はドワイヨンなんて誰も見ていないだろうし、パクリ元としては最適。『家族生活』が父(ドワイ>>続きを読む

今朝の秋(1987年製作の映画)

4.0

老いた父より先に癌で死ぬ息子。死にそうな息子のために崩壊していた「家族」が再生する。死にゆく男のために離れ離れだった者たちが一堂に会し、家族を演じている。おそらく山田太一は家族という共同体を信じていな>>続きを読む

ながらえば(1982年製作の映画)

3.5

本筋は笠智衆が入院した老いた妻に会いに行くまでの話だが、アル中の夫にDVされまくっている長山藍子が、その抱え込んだ怒りや悲しみを父である笠智衆にぶつけるしかない脇筋がたまらなく良い。父ではあるが、まず>>続きを読む

冬構え(1985年製作の映画)

3.5

笠智衆が死に場所を探し彷徨う。子どもや孫との関係が円満なのは、まだどうにか健康であり、誰にも迷惑をかけていないからで、これが耄碌し始めると、そうもいかない。旅ができるほど元気なうちに自殺しようと思う。>>続きを読む

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)

3.5

結果としての反植民地主義、テーマ性のある映画は撮らない。宗教議論ではなく、単なる対話の一つなだけ。求められた企画にもしっかりと応え、格好つけずにノラリクラリと素晴らしい映画を創造してしまうブニュェル爺>>続きを読む

ギターを持った渡り鳥(1959年製作の映画)

3.0

流れ者がその土地の悪を成敗する、という筋だけではなく、デカいキャバレーで歌ありヤクザあり、小さな子供と母親、殺されたと思ったら生きていた終盤など、どこかで見たような展開ばかりで、どれがどれだか分からな>>続きを読む

ロストボーイ(1987年製作の映画)

3.5

で、『デイ・シフト』を見てから久々に再見したり。80年代アメリカ映画で忘れることは出来ない良作の一本。コリー・フェルドマン演じるヴァンパイアハンターのクソガキ二人組が最高。「映画」を躍動させるのは、こ>>続きを読む

デイ・シフト(2022年製作の映画)

3.0

デイヴ・フランコがデタラメになって(覚醒して)からの終盤が良い。兄フランコがハリウッドから追放されたあとは、お前しかいない!アメリカ映画をヤッたれ!
定期的に制作されるヴァンパイアもの。吸血鬼なのかゾ
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.0

デカい話のようでチマチマと箱庭的なのは、がっつりコメディに寄せているからで、これは作り手の手法、癖。『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』をヤりたいのはよく分かる。それならそれでデタラメさ>>続きを読む

閉ざされた森(2003年製作の映画)

2.0

どんでん返しの空虚さについてぼんやり考えたくなる。ドラマも物語もなし崩しにされ、しょうもない伏線回収、そのキャラクターに一貫性はなく、結末への手がかりのために無理やり作らされた関係性。なにかこう、ああ>>続きを読む

メン・オブ・ウォー(1994年製作の映画)

3.0

日々疲弊しているので楽な映画ばかり見てしまう。ドルラン(ドルフ・ラングレン)がゴロツキの傭兵集めてミッションを遂行する『特攻大作戦』もの。まあまあよくある。ドラマパートのシナリオはジョン・セイルズが書>>続きを読む

ピーター・パン&ウェンディ(2023年製作の映画)

2.5

デヴィッド・ロウリーの映画って結構のっぺり淡々としている。語られる物語や主題がありきたりだと、その平凡さに独自のエンジンを積んで映画を次のレベルへ走らせることができるような作家ではない。ロウリーはどの>>続きを読む

13日の金曜日・完結編(1984年製作の映画)

2.5

『13日の金曜日』シリーズってジョセフ・ジトーとかダニー・スタインマンに撮らせて、志があるのかないのかさっぱり分からない(まあ、ないんでしょうが…)、場当たり的な人選は殺人鬼ホラーの切り口が何周もして>>続きを読む

悪魔の植物人間(1973年製作の映画)

3.0

社会から弾かれ見世物小屋に流れ着いても、嫌われて殺される奇形な大男。下には下がいて、水は下にしか流れない。結局は見かけや生い立ちではなく、単にそいつの性格が悪かったり自分勝手だから周りがうんざりしてみ>>続きを読む

リトルトウキョー殺人課/リトルトーキョー殺人課(1991年製作の映画)

3.0

刺青ヤクザにバブル期日本のオッサンが女体盛りしていたり、指詰め、腹切り、大衆浴場での裸アクション。いまさら外国人が描くトンデモニッポンをゲテモノ映画として笑ってもしょうがないし、突き詰めると神風精神論>>続きを読む

タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

2.5

カンタン・デュピューの映画は俺が大嫌いな「芸人がコントの延長線上(文脈)で書くテレビドラマ」と同じ臭み。幼稚なコスプレした大人が着ぐるみの怪獣と戦うとかクソ笑える的な日本の戦隊モノを馬鹿にしまくってる>>続きを読む

バンパイアの惑星(1965年製作の映画)

3.0

SFではあるが、「誰が生き残るのか」の異常な場としての宇宙で、仲間か敵なのか判断がつかない疑心暗鬼は孤島での犯人(殺人鬼)探し、身体を乗っ取る宇宙人は精神を狂わす幽霊の変異体。思ったより色々なジャンル>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

2.0

当初はグレタ・ガーウィグとジョン・タトゥーロが演じるはずだったらしく、どちらも監督という端から色を付けた夫婦を、なぜにこれだけ歳の離れた設定にしたのか疑問だったけど、見ているうちにわかってきた。おそら>>続きを読む

レッド・スコルピオン(1988年製作の映画)

2.5

冷血な殺人サイボーグとして育てられたドルフ・ラングレン、色々あって善悪の判断を己で下せる「人間」に戻るきっかけが、先住民族のシャーマン儀式。謎めいたサソリ入りの器から粉液体を飲まされ、うなされるラング>>続きを読む

トラウマ/鮮血の叫び(1992年製作の映画)

3.0

エンドロールに流れるバルコニーで踊る女性は拒食症に苦しみ事故死したダリオ・アルジェントの義理の娘。
アメリカで撮ったアルジェント映画だが、ホームのイタリアとは違って、アルジェントのみ100理解している
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ゴシック(1986年製作の映画)

3.5

ホラーというより鬼強いドラッグでラリった裕福な若者四人がメチャクチャやっているだけの90分で楽しかった。キチガイのホーンテッドマンションって感じ。不幸な未来を過剰なイメージのみで繋げて見せる終盤、ベタ>>続きを読む

ホテル・シュヴァリエ(2007年製作の映画)

3.0

明確に濡れ場(というほどでもないが)を撮りたいとの意思を持ってこの短編に挑んだのは間違いなく、いまではいけ好かないガキが箱庭で人形遊びをしているようなくだらない映画しか撮らなくなったとしても、まだこの>>続きを読む

日本製少年(1995年製作の映画)

3.5

偏愛している一本。銃と虚無感。結局は90年代日本映画育ち。鈴木一功演じるヤクザのおっさんが最高。このキャラクターをいまだに追い求めて映画や表現に触れているところもある。

花と竜(1962年製作の映画)

2.5

仁義の世界にいまいち不釣り合いな石原裕次郎の肉体。ぽにょぽにょしている。迫力というか佇まいというか、ギラギラした裏社会を生き延びるほどの説得力がない。どれだけ斬られて刺されても不死身な終盤、病室の低い>>続きを読む

女はそれを待っている(1958年製作の映画)

3.0

産院に入院している三人の女性のドラマ。閉じられた空間で女性たちが芝居を見せていく、広がりがないので映画としては弱いが舞台劇としてイメージを膨らませるなら上質。女性が抱えているそれぞれの人生と紐づけての>>続きを読む

モントレー・ホテル(1972年製作の映画)

3.0

Michael Snowの表現が好きなのはよく分かるが、その閉じたホテルから最終的には屋上まで到達し屋外の景色(川も見える)をただ映すキャメラに、前衛、実験映画では終わらず商業的な映画まで踏み込みジャ>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

まあ普通なら「メチャクチャな持論ふっかけて教室から追い出した(出ていった)生徒が成功したのを落ちぶれた私が客席から見て終わる」みたいな流れになりそうだが、その方向にはあえて進まず、嫌がらせのようなオチ>>続きを読む

スティーブン・キング/死の収穫(1992年製作の映画)

3.0

前作で足りなかった「殺害とエロス」を軸にして大成功の続編。もう二作目だし、キングの名前だけ借りて好きなように作らせてもらうわという身勝手で逞しいギャグホラー。地元の田舎娘は能天気に色っぽく、子どもたち>>続きを読む

チルドレン・オブ・ザ・コーン(1984年製作の映画)

2.0

大人を殺しまくるクソガキ集団も煮え切らないし、この呪われた地に迷い込んだ若者カップルもわざわざ厄介事に首突っ込んでギャーギャー騒いでるし。『ターミネーター』シリーズ以外はこれぐらいの(レベルの)映画に>>続きを読む

パンと植木鉢(1996年製作の映画)

4.0

メタが渦巻いてる。脇の人物含めて物語とリアルをふらふらと迷い、その「不安定」な立ち位置に強く引き込まれる。ああこれは真剣に向き合わなければならない表現だと思わされる。
書き換えられない現実(過去)の厳
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風に逆らう流れ者(1961年製作の映画)

2.5

銃よりムチが必要になる展開にもっていくため逆算して出てきた設定が火薬会社。その火薬倉庫のアクションでは爆発を回避できるムチが有効だと思われたが、ごちゃごちゃした室内でムチが活きるはずもなく、逆に不利に>>続きを読む