ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.0

見世物小屋から逃げ出したフリークスが、その過去と向き合い決別する話で、こういった作品にはめっぽう弱く、心揺さぶられどうしても泣いてしまう。クズでもキチガイでもノータリンでも動物人間でも己を肯定していく>>続きを読む

ニューヨークUコップ(1993年製作の映画)

2.5

アメリカを舞台にしたVシネを全うしている。チャド・マックイーンも売れる前のミラ・ソルヴィノも、Vシネと見れば適切、ど真ん中の配役。普通に凡作だけど、これぐらいのアメリカ映画は幾らでもあるし、ニューヨー>>続きを読む

ラストデイズ(2005年製作の映画)

3.0

アーシア・アルジェントを追いかけて久しぶりに再見したが、これ、タル・ベーラをやっているんだな。公開時はタル・ベーラなんて見ていなかったから気が付かなかったよ。結局、ガス・ヴァン・サントは00年代の『g>>続きを読む

「北帰行」より 渡り鳥北へ帰る(1962年製作の映画)

3.0

若い頃の浅丘ルリ子、痩せた細川ふみえみたいで愛くるしい。小林旭が白なら郷えい治は赤。ラストは空港でのアクション、悪党が飛行機エンジンに吸い込まれてバラバラになるのを期待したがあるはずない。母と子の死に>>続きを読む

テロ2000年 集中治療室(1992年製作の映画)

3.0

苦しい日々に打ちのめされて綱渡りの人生半ば、空いた時間にクリストフ・シュリンゲンズィーフ。ファスビンダー、シュミットの思いもよらぬ方向への過激な放射(魂)を憑依させて、その時代の表現として甦らせても、>>続きを読む

イザベルの誘惑(1985年製作の映画)

4.0

軸はメンヘラ男女の痴話喧嘩。そこにもう一組の男と女、後半は女性の父と母も話に巻き込まれていく。三組のカップルをくっつけたり離したり、日常に散らばした人物の配置で物語をでっち上げている。寄り道として男が>>続きを読む

黒いダイスが俺を呼ぶ(1964年製作の映画)

3.0

老いた父と一緒に見たが、父は歌ってアクションして弱者を救う90分の小林旭ワンマンショーにうっすら涙を浮かべていた。

マッドゴッド(2021年製作の映画)

2.5

ダゲレオ出版から出ていたVHSって感じ。ちまちま30年以上かけて作っているせいか、濃度は高いが均一の表現。いまだに『2001年宇宙の旅』オマージュ。ストップモーションアニメの世界に老いたアレックス・コ>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.0

街のノイズが母からの手紙さえ潰していく。その街を撮りたいわけでも、もちろん家族との繋がりを見せつけたいわけでもなく、過去の私を縛る集団さえ切り捨てていくアケルマン。船に乗せたキャメラが淡々とマンハッタ>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

2.5

規則的な日常が崩れる、その破壊衝動。部屋に閉じ籠る孤立。誰も信用していないし、それが他人の物語だとしても、「私」の話を永遠と呟いている。躁と鬱。自殺の映画からはじまり、自殺して終えるアケルマンの一生。

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.5

街で、信号待ちなどしているときなど風に舞うゴミ袋を見てしまうと、いまだにふと思い出してしまう。久しぶりに見返したが、サム・メンデスの演出は、それ以上うつしたらもう見ていられなくなる(テレビドラマ的にな>>続きを読む

洞窟(2021年製作の映画)

2.5

その洞窟を真剣に見つめることで、そこに何もないことを知った。しかし、それがわかったことに意味はあった。

愛染恭子の未亡人下宿(1984年製作の映画)

2.5

桜金造の「小山遊園地〜」、時代じゃないからよく知らない。談志がタモリを呼び出して、タモリのデタラメ韓国語。談志はあまり好きじゃなさそう。所ジョージは矢沢永吉のモノマネ、宇崎竜童のモノマネじゃなかった。>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール風の『イグジズデンス』。社会的なメッセージ(夫に束縛され家庭に閉じ込められている妻)ありきのどんでん返しサスペンスは流行りの形。あと世界観としては『ミッドサマー』『ワンダビジョン』『>>続きを読む

未亡人変態地獄(1991年製作の映画)

3.5

ビデオカメラの映像に切り替わる瞬間、もう一つの世界が生々しく立ち上がる。フィルムで撮られた日常は虚構だが、その虚構の日常で撮られるビデオカメラの映像は虚構のなかのリアル。地鳴りのようなノイズ音と共に湧>>続きを読む

バスカヴィル家の犬(1959年製作の映画)

2.5

ピーター・カッシングのシャーロック・ホームズは最高。生き埋めになって危機状況でも飄々と誰よりも先に生還している食えない感じは俺の記憶のなかのホームズと一致。探偵小説をハマー・フィルムのバキバキのカラー>>続きを読む

愚か者の日(1981年製作の映画)

2.5

役者がキチガイ病院でキチガイを熱心に演じている、その頭のおかしな行動が一つのパフォーマンスにしか見えない。キャメラを傾けたり、妄想を視覚化したり、映像でキチガイの世界を押し付けてくる。その作り込まれた>>続きを読む

イノセントマン/仕組まれた罠(1989年製作の映画)

3.0

晩年のピーター・イエーツ。90年代前後の脳天気なアメリカ映画の波には乗れず、渋い娯楽作を淡々と撮っている。トム・セレックはトム・セレックらしい役柄。汚職刑事に濡れ衣を着させられ監獄行き、そこで仲間を見>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

2.5

リモート通話を正面からとらえる切り返しショット、そういえばコゴナダの前作でも小津を模していたのを思い出した。心の揺れを手持ちキャメラであらわす、どこか雰囲気は初期の岩井俊二。坂本教授の音楽が流れてくる>>続きを読む

ゲーム・オブ・デス(2017年製作の映画)

2.0

金持ちのクソガキどもが、自分が生き残るために弱者を殺しまくる(重病患者は殺しても良い人間だと選別するのが)、相模原障害者施設殺傷事件を思い出して嫌な気持ちになった。『ジュマンジ』『ソウ』『ナチュラル・>>続きを読む

悪魔の凌辱(1974年製作の映画)

3.0

車の事故で出会った二人、近くの城に助けを求めるが、そこは妖しい城主に迷宮のような城内。不可思議な城では欲望に囚われた「もう一人の私」が現れ、閉ざされた世界はますます混沌としていく。
一人二役は低予算で
>>続きを読む

ブラディ・ムーン/血ぬられた女子寮(1981年製作の映画)

3.0

追いきれないほど多くの作品を残し、海千山千渡り歩いてきたジェス・フランコなら、これぐらいは当然撮れるだろうと納得のユーロスラッシャー。鼻息荒くヤってやるぞというダサさが一切ない。殺しも女性の裸もExp>>続きを読む

東京画(1985年製作の映画)

3.0

小津の世界を破壊したこの時代(80年代)もすでに過去で、ブラウン管テレビは処分され、タモリ倶楽部も終わった。パチ屋やゴルフの打ちっぱなしはあるにはあるが、いまの私たちには金も好奇心も枯れ果て、未知なる>>続きを読む

愛をつづる詩(うた)(2004年製作の映画)

1.5

どん詰まり中年のクソポエムを延々と聞かされているかのような地獄。勿体ぶるスローやカクカクとした画面処理、下手くそなテレンス・マリックのような手法は映像の自由さに溺れる悪手。心理をキャメラにあざとく語ら>>続きを読む

AVA/エヴァ(2020年製作の映画)

2.0

ジェシカ・チャステインの出来の悪い『ニキータ』。父の不倫どうのこうのとか元カレの借金とか、暗殺者が抱えるトラウマが高円寺あたりのキャバ嬢と同じ苦悩(愚痴)。何人も平気で殺しまくってるのに、そんなことで>>続きを読む

コールドヒート(1988年製作の映画)

1.5

おそらく全世界で8人ぐらいしか見ていないウーリー・ロメルのTRASH映画。やる気があるとかないとかの次元を超えている、ここまで来ると枠組みとしては現代美術家のビデオ・アート。だらだらだらだら引き伸ばさ>>続きを読む

ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ(2022年製作の映画)

2.0

最近では「The Weeknd」のMVぐらいでしか見かけなくなったジム・キャリー。初っ端からキレキレの動きで画面に現れ、器用な手足にカートゥーンみたいなリアクション芸。まだ「映画」をやっていく意思は残>>続きを読む

首だけの情事(1980年製作の映画)

3.5

キチガイ病院を退院した美しき母親と悪意憎しみで育った子ども、それに純粋無垢で童貞な盲の青年。車内の窓を突き破る残虐は冒頭、閉塞した不穏さからの暴走で90分。倫理観がぶっ壊れている娘が母親のために野菜ス>>続きを読む

ランド・オブ・ザ・デッド(2005年製作の映画)

3.5

劇場公開以来だったけど、デカいスクリーンよりPC画面で見たほうが、そのペラペラの安さに臨場感が上乗せされて良いかも。改めて見て作りも残虐もゲームっぽい。ジョン・レグイザモの死に様というか、強欲な金持ち>>続きを読む

哀れなボルヴィーザー(1976年製作の映画)

4.0

気の弱い駅長が愛する妻を肉屋に寝取られ、その妻を守ろうと嘘の証言までするが、結局は美容師とも出来ていた妻にあっさり逃げられ、偽証罪で監獄行きからの離婚成立。監獄で悪夢にうなされ、気が狂い、陰茎をまさぐ>>続きを読む

昼顔(1967年製作の映画)

3.5

表現の指針として、定期的にブニュエルとファスビンダーに立ち返らなければならない。ど真ん中に「欲望」があり、その欲望に抗うことが出来ないヒエラルキーの頂点にいる女性が快楽に溺れて日常が崩れていく、それが>>続きを読む

家族生活(1984年製作の映画)

3.5

見捨てられた子どもが、そう安々と父親と親密な関係を築けるはずもない。愛は一方通行で、「家族」は形式でしかないのがジャック・ドワイヨン映画。ドワイヨンを見ているとわかってくるが、この機能不全に陥る家族と>>続きを読む

夜明けのマルジュ(1976年製作の映画)

4.0

ジョー・ダレッサンドロの彫刻のような面と肉体美に惚れ惚れしてしまう。娼婦のシルヴィア・クリステルとヤりまくっているその時、愛する子どもは事故死して妻は自殺した。欲望は厄難を近づける。背徳感の高揚は理不>>続きを読む

トリプルX(2002年製作の映画)

2.0

アーシア・アルジェントはいつも通りの安い娼婦かと思わせて、それなりに可愛げのある役柄でラストにはニッコリ笑顔まで見せてくれたりして、それはとても良かった。アメリカ映画でこのポジションまで上げてきたのは>>続きを読む

ふたりだけの舞台/彼と彼女のコメディ(1987年製作の映画)

3.0

ジャック・ドワイヨン、この家、なんとなく見たことがあるぞ。古びたけど『泣きしずむ女』で撮影していたお前の元自宅じゃないのか?
アラン・スーションが、かつて住んでいた家にジェーン・バーキンを連れてきたか
>>続きを読む

暗くなるまでには/いつか暗くなるときに(2016年製作の映画)

3.0

衰退していく「映画」に手を出し、いま表現者として何かしら刻むためにはこれほどまで複雑にしなければならないのかと途方にくれる。
衝動からのデタラメさではなく、作為的に映画を混乱させていて、悲劇の歴史を抱
>>続きを読む