B5版さんの映画レビュー・感想・評価

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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.1

新年一作目は小回りの効くほっこり映画。

イタリアの石造りの美しい街の古本屋を舞台に、ちょっととぼけた気のいい登場人物等と店主が本にまつわる出来事を巡って会話する。
言ってしまえばそれだけの話なのだが
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.2

外国の小さな田舎町で起こった奇跡のほっこりハートフルストーリー。
主演はトニ・コレット。
彼女の役幅の広さには感心するなぁ。

人生に心の栄養が欲しい気持ち。
生きる上でのパッションは年を経ても、いや
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.3

オストルンドワールド全開ですやんねぇ。
この悪人ではないがしょうもない人間達が織りなす衝突が小出し連発される感じ。嫌さのオンパレード。

描かれるのは荒唐無稽な喜劇のようだが、
イーロン・マスクがTw
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キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

3.5

健康保障サービス会社による一件の通報。
それはちょっとしたミス、誤通報だった。
しかし、かたくなな老人とかけつけた警官達の会話は次第に疑心暗鬼を孕み、
ドア越しにエスカレートしていく。
姪の早急な到着
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復讐者たち(2020年製作の映画)

3.2

貴方達はどうして何もしなかったの?
悲鳴を聞いていたのに。と被害者は問う。

貴方達はどうして抗わなかったの?
団結して勇気を奮ってれば違う結末だったかも。と第三者が問う。
そこには同じ言葉が隠れてる
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

『ELLE』以来のヴァーホーヴェン監督。
この作品で本格的に監督のファンになった!この人すごい!

これは見る者によって解釈が変わる映画である。
ある時は男の権力闘争劇に乱入した女傑の英雄譚、ある時は
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アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)

3.4

大学生の時以来の再鑑賞。
数年越しに観る物語は古めかしい過去の歴史とはなりえず、依然として現実と濃くリンクする世情の話である。虚しいことに。

物語は主人公の兄デレクが殺人の罪で刑務所に入ってから3年
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

選択肢とは本来豊かさの象徴である。
並列するトピックから自分の意思で選びたる行為こそがその言葉に値するはずであり、
袋小路に追い詰めた先に用意された毒餌をあたかも権利のように論うこと、
それは豊かさと
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.4

豪奢な別荘地に集まる軍人、政治家達。
あるものは昇進後の初めての会議に狼狽を携え、あるものは根回しのために目を光らせ、あるものは自らの仕事量への苛立ちを隠さず、渋々といった面持ち。
社会人なら一度は体
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判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

3.4

暴言を吐いたら、殴られた。
侮辱されたから、仕返しした。

人種の異なる他愛無い男達の喧嘩は裁判に発展。
やがては磁場のようにあらゆる人物や集団を引き寄せてしまい、遂には政治的なトピックへと変貌する。
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ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

時は死なず、巡ることなし。

幾粒の雨が迎える始まりと終わり。
メビウスの輪のように延々と形を変える過去、現在、そして今。

一見三つのエピソードが連なる群像劇、しかし一癖のある本作。
愛を巡る話だが
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

とても強い物語。素晴らしい作品だった。
現実さえ変えていけるような、力強さがある。変わって欲しいと願わせるような。

女達がただただ今後について話し合うという物語、その背景には歪みを含んだ宗教、教育、
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.1

パクチャヌク監督曰く「私はずっとラブストーリーを常に描いてきた」らしい。
確かに純度が高い原液まま、故に毒々しいが美しい愛が監督作品の肝なのかも。

今作におけるそれは、心に寄り添った血塗れの手の暖か
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対峙(2021年製作の映画)

3.6

6年前に起こった高校の銃乱射事件。
あの日あの場でなぜあれは起きたのか。
なぜ私達の子供は殺した/殺されたのか。
加害者と被害者の親達の対峙が始まる。

全てがしんどいで埋め尽くされた映画。
未だ鮮明
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告発のとき(2007年製作の映画)

3.5

『クラッシュ』の監督らしい完成度の高い映画だった。
伝えたいメッセージが剥き身なところは行間の余白を楽しみたい方向きではないかも。
けれども嫌味なく照れなく、正義というものを考えさせられる作品になって
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた本作はポーランド映画。

なりすましの実話系映画はたくさんありますが、今作は犯罪者が聖職者になりすます大胆なクラスチェンジをした少年の話を元にしているらしい
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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

語られなかった女達の戦争。
戦場を離れてからも生活に覆い被さる陰について、女側から紐解いた著書「戦争は女の顔をしていない」を原案にした本作。

カオスだと思う。
作中起きることも、再会からの二人の女た
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少女は自転車にのって(2012年製作の映画)

3.2

頭の回転が早い。
勉強は嫌い。体を動かすことが好き。
主人公は日本にもいるようななんでもない女の子。
ある日幼馴染が軽やかに自転車で市街を駆け抜ける姿をみて、自分もどうしても自転車が欲しくなってしまう
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.4

ダーク・ロマンティック・コメディジャンルらしい。この語感よき。
今後めちゃくちゃ観たいジャンルだな。

「これが私の人生であってる?」
アラウンド30の年代に起こる漠然とした不安や焦りのことを「クォー
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コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

遠い東欧の国で起きた悲劇から次々と発覚する国の腐敗、動乱とそして政治的結末。
いや政治的と言う言葉は適当なようでいかにも大袈裟に聞こえ、適切でない。
政治とは本来生活そのもので、身近なもののはずだ。
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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アリスとその夫は完璧な夫婦。
オシャレな車、バービー人形が住む様なお家、夢のあるビジネス、バカンスのような日常を気さくなご近所と楽しむ毎日。
夫婦は全てを手に入れていた。
アリスがあの場所に行くまでは
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刑事ジョン・ブック/目撃者(1985年製作の映画)

3.2

子役の子可愛い〜
ハリソンフォードが若い&渋い。

目撃者のボディガードとして生活する中で芽生えていく感情と、お互いの歩んだ軌跡の違いに見せる躊躇。

実際は切羽詰まってるのに文化に敬意を評しのんびり
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.0

冴えないおじさんとは世を忍ぶ仮の姿。
その正体は国の最高機関で活躍した元スーパーエージェントの殺し屋だったー

中年のいわゆる厨二病的な発想の作品で、
このご時世に安易な暴力賛美の内容に、敵も同情の余
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

暗い映画大好きですが、これは最後まで鑑賞完了できないかもと危ぶむ位、堪える映画でした。

13世紀に起きた決闘裁判の真相を巡る話だが、描かれてるのは21世紀のリアル…
被害者でありながら苦境へ立たされ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール監督はテーマがいつも真摯。
その上で作品をエンターテイメントに昇華させている。加えてオタク要素たっぷりに監督自身が創ることを率先して楽しんで撮ってる姿勢がいいよね。
今回は搾取がテー
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亀も空を飛ぶ(2004年製作の映画)

4.8

地雷を掘り返すことを生業にして手足を失いながら生きる子供達。
言葉にすると眩暈のするほどの悲惨さが前提の舞台で展開する物語だが、とにかく作中の子供達は賑やかで異常なほど悲壮感がない。

特に主人公サテ
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カティンの森(2007年製作の映画)

3.0

ウクライナへの侵攻が世界を驚愕させた時、
"ロシアに降伏すれば命は助かるのでは?"と平和ボケここに極まれりな発言が日本で飛び出たことに閉口した思い出。
カティンの森事件を知る人からは決して出ない言葉だ
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リリーのすべて(2015年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

エディ出るのでずっと気になってたけど、
実話であるが故にこの、美しく脚色してトラジックに描くというやり方にハマれず。

自分のアイデンティティを隠して生きることは辛い。
日常場面でも本当の気持ちが言え
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.0

これめっちゃ評判よさげなので観たのだけれどやはりラブコメは門外漢なので特に心動かず。観賞後に他の人のレビューを読んでなるほど〜と思った。

アメリカの70年代って日本で言うバブル?なのかな。古き良き、
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.5

着々と明るみになっていく"母の愛"に、心臓が凍りつく。

RUN(英):走る、逃げる、獲物を追い掛け回す、落ちる、続くと言う意味も。

一つの言葉に対する本編に掛かった意味が巧すぎる。
前作『sear
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

まだ名前のついてないジャンルじゃないの映画。
予告からして独特の世界観で構築されている。一元様お断りの崇高映画かと思いきや、意外と不穏とほのぼのが共生した世界観にも慣れてくる。
かと思いきやラストは吃
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オートクチュール(2021年製作の映画)

3.0

2022年映画納めは『オートクチュール』。

ひょんなことから、お針子のその道トップクラスの女性に弟子入りすることになった移民の女の子の話。
ここまでのあらすじだと、まるでフランス版『プラダを着た悪魔
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.0

酒は百薬の長か万病の元か?

観た後で気づいたが、大好きな鬱映画「偽りなき者」監督らしい。
テイストが違うので驚いた。
うだつの上がらない中年男性の教師4人がお酒の力を借りてQOLの向上を試みるという
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

2.7

たまには邦画でもということで、白石監督『狐狼の血』がとても良かったことを思い出して最新作を鑑賞。
したはいいが…監督が持ち味が活かし切れてない映画だった。

前作のヤクザ物は個々のキャラクター性が強く
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ジュリアン(2017年製作の映画)

3.2

てっきり泥沼離婚からの親権争いで、双方への愛情の板挟みに苦しむ子供の話かと思ってたら違った。
共同親権がいかに理想化された幻想であるかという現代の矛盾を扱うドラマでした。

全編通してなかなか音が耳障
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ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.2

70年代、次々と少年が消える街。
グラバー(人攫い)がいるんだと噂は回り、行方不明者は誰も帰らない。一番大事な親友も…
ある日主人公も謎の男に誘拐される。

目が覚めると閉ざされた扉、暗い部屋に一人。
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