MovingMoviesさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ルナシー(2005年製作の映画)

3.5

河村隆一さんとは関係ない、たぶん。

お約束のコメントは、とりあえず「置いといて」。

シークエンスの切れる場面で可愛い音楽に乗り、舌が毛虫みたいに這い進んだり、肉の切身が行進する。シュヴァンクマイエ
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自由の幻想(1974年製作の映画)

3.5

登場人物が入れ替わっていく。連作短篇のような一体感とは真逆に作られている。
ブニュエルは『あいまいな欲望の対象』で、欲望だけをのこして対象を消してしまう大技をしかけたけど、本作は主人公の不在や循環を感
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夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

5.0

子供のころ、飼っていた犬がいなくなってしまった。翌日バス停で見つかった。自分では覚えていないけど、ずっと泣いていたらしい。バスが嫌いになった。大好きな犬を奪ったから。でもずいぶん後になって、必ずしもバ>>続きを読む

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.0

コンピューター相手にチェスで負けたくらいで、かっとなる。いかにもマッチョなキャラで登場する。なのに危機に接するとどこまでいっても冷静で、The Thingの特性に関する仮説も立てたりする、とてもインテ>>続きを読む

埋もれ木(2005年製作の映画)

3.5

だれもがもっている物語を、少しずつ、つないでいくようなことが、まるで埋もれ木のように何千年も前から行われているという俯瞰。

クロースアップを極力排して撮られている。セットの質感は「美術」の力なのだろ
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トラベラー(1974年製作の映画)

4.5

少年ガッセムはサッカーに熱中している。見ている子供たちの熱狂ぶりが伝わってくる。

大人たちはこどもが何を考えているかなど聞いてはくれない。母は繰り言、父は黙って煙草を吸っている。こどもは俯くだけだ。
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シュヴァンクマイエルのキメラ的世界(2001年製作の映画)

3.5

フランスのTV局のドキュメンタリー番組。

地下室や食べ物が子どものころの嫌な思い出であること、妻エヴァはアーティストでヤンの作品に創作物やアイデアを提供していること、シュールレアリズムへの信奉などが
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.5

美しい女性が馬車に乗って働き先へ初めて向かうのは、『哀しみのトリスターナ』や、設定がメイドではないが『ビリディアナ』も類似している。

主人であるブルジョアジーの一家は働かなくていいので暇そうだ。狩り
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バスキア、10代最後のとき(2017年製作の映画)

3.0

1980年ころのニューヨークのストリート・アートの影響がとても大きかったことが伝わってくる。そして1年1年の変化がいかに大きかったかも。

本作はバスキアと親交のあったアーティストたちが、バスキアのア
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ラブゴーゴー(1997年製作の映画)

5.0

3篇のエピソードが絡む物語。叔母の営むパン屋で働くアシェンのエピソードはノスタルジーに満ちている。ブランコ、透明人間、消えてしまった友達。
リリーが魅力的だ。「人生には楽しいことがいっぱいあるじゃない
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FOUJITA(2015年製作の映画)

4.0

この作品はロングショットかそれより遠いフレームに徹底していた。人物にうかつに接近しないと覚悟しているような映画だった。

カメラがもっとも近づいたのがユキが横たわっているシーンだった気がする。君代(中
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リベリアの白い血(2015年製作の映画)

4.0

リベリアという国の名前も知らなかった。『ブラッド・ダイヤモンド』の舞台シエラレオネの隣国だそうだ。

ゴム園で働く男の肩に食い込む、たわんだ天秤棒。女たちは炭をつくっているのか、木を頭にのせて運んでい
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めがね(2007年製作の映画)

4.0

この作品は微風が心地よく吹いているのが印象的だった。

海辺。小さな空港があるので島なのだろうと思う。小林聡美、旅行者。光石研、宿の主。もたいまさこ、春になるとくるらしい。市川美日子、宿泊していないの
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欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.0

ブニュエルの作品は観客には奇妙な事なのに、登場人物には「そういうことになっている」ということがある。現役監督ヨルゴス・ランティモス『ロブスター』『聖なる鹿殺し』も同じ香りがする。ブニュエル『皆殺しの天>>続きを読む

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

4.5

経験者の方々が語る。戦場と化した村で軍隊は住民に何をしたのか?①利用する=少年兵。②監視する=敵と内通している容疑により処刑もする。③排除する=強制移住により多数の住民がマラリアで死亡する。

三上・
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ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

5.0

ちいさなリュックひとつが彼と世界とのつながりのすべてと思ったら泣けてきた。開始10分ですでに本作品にやられていた。(といっても全部で66分の映画なのだけど)

ズッキーニの表情がこどもらしい。カミーユ
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ルイスと不思議の時計(2018年製作の映画)

4.5

孤児、転校、魔法使いという設定は珍しくないのかもしれない。

でもこの作品はただ楽しめばいい。(しまった。この好評価はファンタジー好き補正が入ってしまったのか)

マントルピースへ入っていくシーンのフ
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散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.5

別人のような夫との生活で思い出すのは、『ジャック・サマースビー』という作品のジョディ・フォスターの演じた役だ。夫と違うと思いながらも惹かれていく映画だった。
本作で好きなのは長澤まさみさんが、「あーあ
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忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.0

メキシコの貧しい少年たちの物語。ブニュエルにしては社会派なの?と思いきや当然裏切られる。

幻想がところどころ輝く。父とはぐれた田舎の子が家畜の乳房から直接ミルクを飲むシーンには驚きと同時に可笑しみを
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早春(1970年製作の映画)

4.5

ばかばかしい青春の話しは好きだ。ストレートにだされるとアオハルもレンアイ映画もお手上げになってしまうけど、ユーモアを混ぜられると好きといえる作品がある。本作もその一つになった。

15歳のマイク。同じ
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黄金のメロディ マッスル・ショールズ(2013年製作の映画)

3.5

アラバマ州マッスル・ショールズという地の小さなスタジオに関するドキュメンタリー。

プロデューサー リック・ホールとのちに独立するバンド スワンパーズを中心としたスタジオの魔力をミュージシャンや本人た
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夏美のホタル(2015年製作の映画)

3.0

光石研、吉行和子、小林薫といった俳優さんたちの演技を観る作品になった。
冒頭5分後くらいからの、バイクで棚田のなかを走る空撮は美しいシーンだった。

宵闇真珠(2017年製作の映画)

4.0

日光を避け周囲から疎まれている少女と消えゆく海上家屋の二つの題目が本作にはあり、結果的にはどっちつかずの中途半端になってしまったように感じた。あそこは家ではないと語る少女にとっては、珠明村がどうなるか>>続きを読む

ティム・バートンのコープスブライド(2005年製作の映画)

4.0

タイトルって重要だなって思う。

ジョニー・デップが声を担当していて、つい花婿のヴィクター目線で見ていたのだけれど、本作は『コープスブライド』なのだから、エミリーの物語なのだ。

エミリーは素敵だった
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マチルド、翼を広げ(2017年製作の映画)

4.0

とても個人的な作品に感じた。ウェディングドレス、コーラス、実話なのだろうと思わせる。

『怪物はささやく』をおもいだす。小さな友人はマチルドの発明なのだろう。思いやりがある彼女は、自分の理性が告げる残
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

3.5

アンナ・カリーナの美しい横顔が印象的

『はなればなれに』『女は女である』といったアンナ・カリーナの魅力あふれる作品のような陽気さはないけれど、ゴダール作品のユーモアと身もふたもないところを楽しんだ。
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ボイス・オブ・ムーン(1990年製作の映画)

3.5

死者たちが満月の夜に帰ってきているのだろうか。真っ白い顔に赤い口紅をひいた死に装束のように見えるベニーニ。思い出が混じっているのか、祖母のスカートの下にもぐったようにミス小麦コンテスト会場の舞台の下に>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

4.5

埼玉愛がすごい作品

本作を観ると埼玉、千葉いいぞ!と思う。埼玉ならでは踏み絵、風土病、千葉ならでは拷問などの小ネタも愉快。

GACKT、二階堂ふみも、作品に合わせ堂に入った過剰な演技を展開。

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運び屋(2018年製作の映画)

4.0

クリント・イーストウッドはかっこいい。死を恐れない、こけ脅しなどは相手にしない退役軍人の役だ。
老イーストウッドと捜査官、売人たち、途上で出会うライダーの掛け合いを楽しんだ。
自分が失ってしまった「人
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.5

答えは初めから我々の目の前にあった。
『二十世紀少年』を思い出す。深い憎悪とうらはらの忘却。
オ・デスが刃物を持ち、効果音がミリミリと音を立てるシーンは目をそむけたくなる迫力だった。
意志を持って規範
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ハロルドが笑う その日まで(2014年製作の映画)

4.0

『グッバイ・サマー』というミシェル・ゴンドリー作品は、少年が友だちと旅にでるストーリーだった。本作の主人公ハロルドは家具店を何十年も経営してきた。本作は大人のグッバイ・ウィンターとでもいうべき物語だ。>>続きを読む

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(2010年製作の映画)

3.0

100年前に便器にサインをして、タイトルをつけ画廊に展示したアーティストがいた。サインがしてあり、タイトルがあれば「作品」なのだという不意打ち。
①意味わかんない。
②既存のアートをぶっとばす作品だ。
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.5

一人でバカンスにでかけるなんて嫌。パリに残るのもいや。いやなことは明確なのだ。では好きなことは?

これでは自ら不幸になるように行動しているなあと思いながらも、泣いてばかりいるデルフィーヌが不憫にも思
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神様メール(2015年製作の映画)

4.5

ろくでなしの神様に自業自得的なことが起こるのが、僕にはこの映画の一番面白いところだった。

神様は実在し、ブリュッセルに住んでいる。いい感じでの出だし。

神様はどうみても『シャイニング』のジャックニ
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さすらい(1975年製作の映画)

3.5

主役の映写技師の映画愛が伝わってくる作品。

二人の旅の前半は退屈と言えば退屈だが、居ついてしまった男のように、居心地が悪いわけでもない。
中盤から後半には、二人の関りが増し、感情の起伏や葛藤も語られ
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エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

4.0

本作の製作者ジャコ・ヴァン・ドルマルの以前監督した『トト・ザ・ヒーロー』は好きな作品だけれど、長い間心にひっかかっている。

みんなと違っていたって、99.9%は居心地が悪くたって、0.1%の世界でな
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