ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ゆき

ゆき

映画(1976)
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エンディングノート(2011年製作の映画)

3.8

引き際

「死」に向かっていくというのに、どこか軽快なリズムで展開される一作。
終活というワードが日常に溶け込むようになった昨今、帰省の際に親とそんな話をした矢先にこの作品を知った。
「昭和」気質の父
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海炭市叙景(2010年製作の映画)

3.7

変動

街自体が疲弊感で満ちている、それでも生きていかなければならない。
原作は晴れ切らない表現がどこか気にかかって、つい手に取ってしまう一作。佐藤泰志さんの遺作。
地方都市自体とそこで生を全うする人
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母を亡くした時、 僕は遺骨を食べたいと思った。(2018年製作の映画)

3.6

思い通り

最期の晩餐に選ぶなら母親のカレー一択だ。
死に向かう準備をする母と運命に抗おうとする息子。
育ててくれた、支えてくれた感謝があるから、当たり前に必死になる。
限られた人物に絞って、ぎゅっと
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私はいったい、何と闘っているのか(2021年製作の映画)

3.8

叫び

本当に、何と闘ってたんだ。人生は。
男のプライドを盗み聞きしながら、家族愛に触れる作品でした。
ドラマで見たいコメディタッチな演出。
名酒“ナポレオン”作戦が好き。
キャラクター性が至極で、2
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夜明けの夫婦(2021年製作の映画)

3.6

隔たり

関係性も人間性も全体的に絶妙なバグが起きてた。
それは流行りの病の影響か根本的な問題か。
外に出れば重宝される存在だろう、さらさん。
彼女の言動と言葉の温度、リズム。逐一出る憂いな表情に嫌悪
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.7



不穏な関係性を見た。
「壮大なる予告編」だという今作、肉体的にも精神的にも核心に触れることを避けつつも身を寄せ合う人たちを描いていた。
独自の空気感も然り、演者さんの画力がとても魅力的。
関係的
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

3.8

NOT THE END

「誓う」前のためらい。
裏切りを以て、自分の愛情を確信した女性の葛藤その周りの揺らぎが紡がれる58分。
背徳心を抱く結婚相手に目一杯の愛情を返そうとする新郎。そしてもう一人の
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.9

暴悪

カラッとした演出で抑圧された環境を描いている分、ストーリーが進み二人の「懸命」さが明確になってくるほど虚無感が大きくなっていった。
成しえたものがないワンダが抱える多くの問題は明瞭。
“Mr.
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サマーフィーリング(2016年製作の映画)

3.8

移ろい

言葉のないシーンのほうがグッと気持ちを捕まれるような、画に説得力のある一作でした。
ザラつきを残した画質、ベルリン、パリ、ニューヨークという3都市の街並みに見惚れる時間。
夏だけを紡いだ展開
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.8

ウーマンスプレイニング

人生の主人公でありたいのに、いつのまにか傍観者になりつつある人たちへのラブレターみたいな作品でした。
プライベートでは自然体でいられる相手を探し、仕事では自分の居場所を探す繰
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ビリーバーズ(2022年製作の映画)

3.7

安住の地

倫理観って、普遍的って・・・なんだ。
原作を読んだ時よりストレートにショッキングだった。
精神の乱れは性に直結するのか、それは救いになるのか。欲の果てを見た。
ギリギリの現実味を残した演出
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.8



常に「何か」に影響されながら変化していくユカ。
“自称”モデル。夢があって、やりたいことがある。それが何かは明確ではないというのに。
自尊心で身をまとった彼女と、男たちの日常を見た。
性で誤魔化
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先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

3.7

境界線

全体的に小粋な作品でした。
創作と現実の狭間で翻弄される夫と視聴者。
一定のリズムを保つ展開ながら、登場人物の精神状態は揺らいでいく。
内に秘めた感じの黒木華さんの演技が印象的な一作。
**
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.8



「狂気のゴッサム二本立て!」と称された 「THE BATMAN-ザ・バットマンー」と「ジョーカー」の二本立て鑑賞。
ずっしり、、、でもいい塩梅の「食べ過ぎた感」での帰路でした。
「復讐」を原動力
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

3.8

ゴッサム・シティ

新しき悪・ベインと美しきキャット・ウーマンの登場で、ぎゅっとキャラクター性が高まったシリーズ最終章。
「魂の拷問」という最恐の仕打ち。
奈落の世界線といい、終盤にかけてファンタジッ
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.0

混沌

物語の運び方に魅せ方、締め方まで秀逸だった。なんてこった。
「申し上げたのに」という執事との掛け合いもより良い。
はみだしものたちの葛藤。正義とはなんだろう。
番人となったバットマンの存在意義
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

3.8

ダークヒーロー

ティム・バートン版の世界観をスキップしてノーラン版から。
バットマンの「人」らしい描かれ方にすごく引き込まれた~
アメコミの実写はどこか苦手意識があったけれど、「ダークナイト」3部作
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.6

虚偽

終始漂う居心地の悪さと順応していく小気味悪さが印象的。
裕福さを手にすることが幸せに直結すると人限らない、シンデレラストーリーの影の部分。
夫の制圧する様と居場所を失う妻の不安感にキャストがピ
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整形水(2020年製作の映画)

3.5

欲と背徳感の狭間。

ファンタスティックホラーだった。
美への探究心は尽きないし、損得勘定は根深い。
支える人の大事さも見失うほど。

***
小さい時から自分の外見がコンプレックスだった女性。あるき
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三姉妹(2020年製作の映画)

3.9

資格と能力

煩わしくも愛おしい血の繋がりを、痛烈な展開で回顧させてくれる一作でした。
エンドロールの2曲目がシニカルすぎ。
全体的に祈るだけではどうにもならなそうな状況の家庭環境を見せつけられる11
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茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.0

多幸

生きる意味を追い求める二人の関係性がとても心地いい時間でした。
水彩画のようなモノクロ。
偉大なる自然と、着飾らない人たち。
苦しい生活の中でも、心を寄せあいながら生きる島民の穏やかな表情が印
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.1

선의(善意)

子供の未来を祈るような一作でした。
それぞれの立場から思惑を以て寄り合った大人たちだが、時間を共にするほど思いやりが深くなっていく。
釜山から始まった旅路で、親近感が愛情に変わっていく
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

排除

制度の対象者と役割を担う者たち。
立場の違う人たちを繋ぐ、多面的で挑発的にも思える一作でした。
オムニバス作品『十年 Ten Years Japan』の中でも印象深かった世界観が、より彩度が高
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

4.3

畜生

感情のまま相手に向き合ってた過去と、押し殺すことも覚えた現在とのすれ違い。
〝おとな〟の線引きはどこから?
経済的にも世間的にも自立してない、サークルをカンパニーと言い直す男。
今を共にする苗
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.9

できる範囲で。

「発信」の過信は狂気的な武器であり凶器にもなり得る。
2年前に撮影を終えていたという今作ですが、なんともタイムリーなこと。
終始きっちりと胸糞の悪いキャラクターばかりだった(爆褒め)
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オーディブル: 鼓動を響かせて(2021年製作の映画)

3.7

憤激

青春の1ページを垣間見るドキュメンタリーでした。
メインとなるのは、CODAとは異なり家族の中で唯一ろう者である少年。
スポーツでの挫折とチームでの再起を軸にしつつ、身体的障害や友人の死という
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.9


両面を見てる娘と世界に境界線を置く家族の物語。
父親の口の悪さと下ネタがなんともいえない塩梅の飽和剤だった。笑
「送り出す覚悟」って両者にとってターニングポイントになる。
母と娘の朝食時の会話が印象
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私だけ聴こえる(2022年製作の映画)

3.8

私は私でいい

「はみ出し者」と自分達を呼称する子供達。
子供達といいつつも、15歳という多感な年齢の彼・彼女たちは、疑似的な大人にも見えた。
別の作品で知った、CODA(Children Of De
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.8

摩擦

「そちら側」という線引きはあくまで平面的すぎると痛感する時間だった。
殺伐としつつも青春感のあるドラマ版に惹かれ、原作を読んだ。
全8回のドラマと異なり、映画は121分に凝縮させなければならな
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ひらいて(2021年製作の映画)

3.7

態度。

三者三様な暗晦さを紡ぎ合わせた時間だった。
原作未読。山田杏奈さんブームで鑑賞。
「自分しか好きじゃない人」と「相手を重んじる人」。それぞれに歪んでた。
目に焼き付くような魅せるシーンが多い
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.8

いってらっしゃい

「優しい人は悩み、虐げられる」のです。
そして“素敵なお顔”を世間に晒していく。
いい意味で感情の置き所がわからない作品でした。
脳と心を洗えと言われているような、洗車シーン。
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.8

友情

人って思ってもみないふうになるものだから。
少しの勇気と優しさが重なりあう物語でした。
好奇心の矛先はいくつになってもアップデートされる。
雪さんがわたわたと漫画のビニールの外す姿は、高揚感が
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.3

居心地。

更紗の自然体な感情に委ねるように心拍数あがる前半。文の焦燥感を体現するような混沌としたざわめきが続く後半。
世間が見たがる側面に抗うことなく生きてきた2人の時間がとても丁寧に紡がれてた。
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.8

捕食

歯が白すぎる人はどこか怖い。
「みんな好きになる」男、彼は苦痛を与えてあげることが生き甲斐だった。
ざらついた画質と雅也のガラス玉みたいな生気のない瞳、ずっと匂わせてる絶妙な気持ち悪さ。
雅也
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

役割分担

「リアル以外の場所」を満たすべく奮起する職人たちの闘いを見た。
全人物にスポットが当たるお仕事ムービー。
笑顔のない吉岡里帆さんが、チームの先頭に立つプレッシャーや孤立感、世間の声と対峙し
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

バディの名

生命ノ舞を観た。フェス感満載。
歌い繋がれるべき魂の云い伝えは物語となり、斬新なビートで民衆を躍らせる。
アニメーションの力強さと勢いある楽曲に押し切られるかと思いきや、きっちり人情ドラ
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