1504みゆきさんの映画レビュー・感想・評価

1504みゆき

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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.0

全人類が見て自分との接点を極限まで考え抜いて反省文を書くのに適している映画だと思った。ある意味で啓蒙・プロパガンダ映画として成立してる。

題材は正くプロットもしっかりしているが映画としてはいまいちと
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

これは良い。
記憶の手触りという超個人的な感覚の値をそのまま映画にしたようなもの。小説でもドキュメンタリーでもアクションでもない、映画だけが出来る視覚言語の雄弁さが詰まりまくっている。

時折妙に冷静
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.4

主人公の眼差しを通してその世界の背景を描いた作品。
主人公それ自体の心に寄り添いながら見るとただの涙腺崩壊系映画だが、自分がその周囲の世界であると自覚しながら見ると涙も止まるほど肝の冷える映画である。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.1

女が好きすぎる宮崎駿が究極の女性性を無意識に考えすぎて生きてたら出産というテーマにたどり着いた。ものすごく頭でっかちになんとか出産=究極の女性性を理解しようとしているような映画。

だなと思った。
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.1

家族という関係性や人の群れを、父と子、男と女、年長者と年少者、という不平等な天秤の中で描いたのではなく、個人と個人、他者と他者という色眼鏡のない視点の中から見つめた素晴らしい映画。

マイクミルズの作
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.5

トムクルーズを甘辛く煮詰めた最高のスカスカアクション映画。
近年の娯楽映画の最高傑作じゃないか。

トムクルーズの胸焼けする笑顔、キラキラ映像、壮絶なドッグファイト、トムクルーズ、キラキラ、ドッグファ
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

3.5

文化への賞賛に満ち溢れた作品だ。サリンジャーの半生を追いながら、常にクリエイションの尊さが語られる映画で温かい気持ちで鑑賞できた。
サリンジャーの創作に突っ込んだ描写は弱く、そこはもっと知りたかったな
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WHOLE/ホール(2019年製作の映画)

3.5

自主制作ということで完成度についてはなんとも言えないのでスコアも真ん中にしたが、重要なことをベストな状況設定で柔らかく描いた、映画的なクオリティに満ちた作品だった。
他作品との相対評価の中でどうしても
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.5

衝撃の社会派リドリー・スコットだった。
エンタメと社会派のバランスが稀有なクリティカルな一作。

騎士道決闘モノかと思いきや、漢臭いストーリーの蚊帳を借りて「既存の価値体系から生まれる許されぬ苦しみ」
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エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

4.3

文化風刺とロシア愛にあふれた見事な映像作品だった。「Russian Ark」が原題で、ロシアという大文化圏が残してきた箱舟とか聖櫃みたいなものがなんぞやを、有形遺産を通じて視覚的に見せながら、精神とい>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.2


35mmのフィルムと1.19:1のアスペクト比が物語と呼応する、美しいダークスリラー。
映画の醍醐味である視覚言語の雄弁さを撮影技術と演者に託した映像美が主軸でありながら、スリルとしての骨組みと物語
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トムボーイ(2011年製作の映画)

4.8

予告編や前評判なしで見た方が先入観なく自分の問題として向き合える。ぜひフラットな状態で見てほしい。

映画が好きで映画をとっているのではなく、言いたい事があるから数ある中から映画を選んだ。というような
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.8

深く考えずに漢の生き様を見て楽しむ映画。後述するが字幕のヤバさだけは気をつけたい。

これまでのダニエル・クレイグ版の中では少し薄かった007的なユーモアに溢れた一作。全ての理由が漢の生き様に統一され
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光を追いかけて(2021年製作の映画)

2.5

秋田のCM映画で秋田の豊かな土壌が好きになる。
米の魅力8割、きりたんぽの魅力2割。秋田っていいところだな!
それ以外は記憶にない。

とはいえここまで方言をそのまま出した映画も珍しいので、そこは素晴
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シークレット ウインドウ(2004年製作の映画)

1.7

よくある、むやみやたらなスティーブン・キングの実写化映画。

原作が良さげだから有名人使って映画にしちゃおうぜ!という製作委員会系の邦画でもよくあるパターンで、映画としてまったく作り込まれていない。
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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

4.8

音楽の素晴らしさは当然として、映像という記録技術が後世にもたらす意義を考える上で、大変重要な一本だった。
公民権運動でブラックパワーが高まった60年代後半に何があったのか。人々は何を世界に求めたのか。
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グッド・ネイバー(2016年製作の映画)

2.9

広告の打ち方が笑えるほど間違っているが、本筋に関係がないので気にせず見始めるのが良い。

時制を反映した啓蒙的な話で重みがあり、映画としてではなく本筋を追うだけで楽しめる内容だ。
邦画ではまだ手をだし
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空白(2021年製作の映画)

3.3

「正しい映画」なだけに評価にこまるが、演者も設定も良いのに映画の作りそのものとしては一般的な邦画すぎた。

個々人の正義がボタンを掛け違い、歯車が狂っていく群像劇。
演者の熱演はすばらしく、個人的には
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