風の旅人さんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

マン・ダウン 戦士の約束(2015年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人間が認識する世界には現実と虚構ともう一つ、「妄想」の世界がある。
普段我々はそれを脳内ビジョンだと理解しているが、メンタルヘルスに不調をきたすと、「現実」と思い込むようになる。
戦場に赴き、その間妻
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怒り(2016年製作の映画)

4.5

自分の愛した人は殺人犯かもしれない。
人はどこまで他者を信じられるか。
同時期に違う場所に現れた素性が不明の三人の男。
事件のニュースを見て生まれる疑念。
信じたいと思いながらも、信じ切れない自分がい
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.5

人間の経験よりもコンピュータのシミュレーションの方が正しいとされる時代。
そこでは感情は無視され、論理が支配的となる。
しかし人間が関わる以上、すべてを機械的に処理することは不可能である。
サリー機長
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クリミナル 2人の記憶を持つ男(2015年製作の映画)

2.0

この不自然な設定を登場人物たちが簡単に受け入れ過ぎ!
もっと葛藤があってもよかった。
いくら人格が同じでも、見た目が違う男性をこうもあっさり愛せるのか?
色々とツッコミどころの多い作品だった。

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.5

まず最初に断っておきたいのは、この映画は予告編を見て想像していたのと全然違っていたこと。
オープニングのミュージカル・シーンのワクワク感。
ミア(エマ・ストーン)の青と黄のドレス、ボトキエの赤のトート
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日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

4.0

人間は自ら何かを欲して行動していると思っているが、実は外的な要因によって欲望させられている。
そこに人間の悲哀がある。
悪を絶とうとした者が、自ら悪に染まる。
ミイラ取りがミイラになった話。
諸星の変
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トリプルX:再起動(2017年製作の映画)

3.5

セレーナ役のディーピカー・パードゥコーンが美し過ぎて、彼女ばかりを目で追っていた。
アデル(ルビー・ローズ)との背中合わせの銃撃戦は目が釘付けになった。

少ししか出てこないが、ローラ役のアリアドナ・
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スノーデン(2016年製作の映画)

4.0

「スノーデン事件」については当時ニュースで目にした程度で、今も大した知識がない。
だからスノーデンがやったことに対して、どうこう言うつもりはない。
それが正しかったのか、間違っていたのか。
そんなこと
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ナイスガイズ!(2016年製作の映画)

2.5

序盤ドアのガラスを素手で割った際に、大量出血して救急車で運ばれるマーチ(ライアン・ゴズリング)には笑った。
しかしその後は突き抜けたものがなかった。
ホリー役のアンゴーリー・ライスの演技がよくて、彼女
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愚行録(2017年製作の映画)

3.5

人は物のように「何か」であることに自足できず、「何者か」に憧れ、「何者か」になることを夢見る。
しかし誰もが思い描いた自分になれるわけではない。
作中に出てくる「日本は格差社会ではなくて階級社会」だと
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たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

3.5

自分の死期が近いことを家族に告げに、12年ぶりに帰省した劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)。
主人公と同じ年齢(34歳)で、10年以上帰省していない僕は、主人公に共感することができた。
映像と音楽が
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バーレスク(2010年製作の映画)

4.5

アイオワの田舎娘が自分の人生を探しにロサンゼルスへやって来る。
この映画でのクリスティーナ・アギレラの美しさは際立っている。
それは夢追い人の美しさかもしれない。
「ここではないどこか」に憧れる人間の
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ミュージックボックス(1989年製作の映画)

5.0

過去鑑賞記録。
ハンガリーにおけるホロコーストを取り上げた戦後裁判の物語。
戦争犯罪の容疑をかけられた父の無実を信じて奔走する弁護士のアン(ジェシカ・ラング)の姿に胸を打たれる。
終盤「ミュージックボ
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

4.5

人は多かれ少なかれ自己を演じて生きている。
他人にどう見られるか、それを意識しない人はいないだろう。
しかし「ありのままの自分」と「演技としての自分」を明確に区別することができるだろうか。
そして俳優
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君と100回目の恋(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

誰もが後悔を抱えながら生きている。
もしあの時こうしていれば。
叶わね願い。

陸(坂口健太郎)は人生のレコードをかけることで、過去へタイム・リープすることができる。
陸は葵海(miwa)の事故を回避
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ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

4.0

マジック・リアリスティックな映像と、冴え渡るアメリカン・ジョークで楽しめた(Wi-Fi、ビヨンセ、注意書きのくだりで笑った)。
ストーリーは西洋の合理的思考に対して、東洋の神秘主義を対置したもの。
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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015年製作の映画)

3.5

『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』の主役がムツゴロウさんではなく動物たちだったように、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の主役もミス・ペレグリンではなくジェイクを中心とした子どもたちだ(ムツゴロウさ>>続きを読む

キセキ あの日のソビト(2017年製作の映画)

3.5

まず最初に断っておかなければならないのは、私はGReeeeNのファンではないし、曲も「キセキ」しか知らないということ。
そんな私がこの映画に感動したのは、成功物語としてではなく、家族の「絆」を描いてい
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君の名は。(2016年製作の映画)

5.0

「なぜ めぐり逢うのかを
私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは いつも知らない
どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語」
(中島みゆき『糸』)
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

3.5

キリスト教徒でもなく、何の宗教も信仰していない者にとっては、色々と考えさせられる映画だった。
キリスト教は真理の普遍性を主張するが、それは別の価値観に対する暴力になるのではないか。
キリスト教に限らず
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ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)

3.5

主人公は自閉症で、表の顔は会計士、裏の顔は暗殺者。
オープニングでモハメド・アリのジグソーパズルを完成させるシーンが出てくるが、張り巡らした伏線を回収していく様は、さながらジグソーパズルを組み立ててい
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ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

4.5

デートクラブで働く明子(高梨臨)は、客であるタカシ(奥野匡)の家に向かうタクシーの車中、駅のロータリーで彼女を待つ祖母を見て涙を流す(明子の携帯には祖母からの留守番電話のメッセージが複数残されていた)>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.5

戦争をテーマにしながら、国家や軍隊などの「大きな物語」に回収されない、すずを中心とした個人の「小さな物語」を丹念に描いていることに好感を持った。
この映画にはヒーローもヒロインも登場しない。
あるのは
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ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

5.0

独特の色彩感覚で撮られた夢幻的な映像美とエレクトロニックな音楽で、理性ではなく感性に訴えかけてくる映画。
オープニングの青のドレスに血糊をつけたジェシー(エル・ファニング)の静止画の美しさに魅入られた
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