だいこんおろしさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

だいこんおろし

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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.8

俯瞰した、波の色合いが濃く波打ちぎわの景色が厳しい。
そちらとこちらに大きな隔たりがあり、超えられない。
帰らない人を待つ。空白はそれでも生きる自分自身をより痛感する時間でもある。

シモーヌ フランスに最も愛された政治家(2022年製作の映画)

4.0

オリヴィエ・ダアン作品。
ピアフ、グレース・ケリーに続いて描く、シモーヌ・ヴェイユ。…彼女という政治家がいることも知らなかったのだが。。
2時間20分。回想の時系列が行きつ戻りつすることで、彼女の体験
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

メキシコのとある街。貧富の差が不協和音を鳴らしていたのかもしれない。ついにその日、市長の娘が盛大な結婚式を挙げている最中、暴徒化した人々が街に溢れ出し暴力と略奪が押し寄せはじめる。
新婦はかつて世話に
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ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

4.2

ティルダ様✕ペドロ・アルモドバルの箱庭宝箱。。
ギラリと光る刃からしたたり落ちるのは泪。

31分の短編。勝手にスタンディングオベーション。

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.8

唐突な出来事、展開が重なるが、シングルマザー役のペネロペ・クルスの魅力と包容力が物語を推進していく。
妊娠出産事情も家族の形態も大きく変化する昨今。…かつて戦禍で奪われた無数の亡骸の傍らにも母たちがい
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あのこと(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

望まない妊娠を知ってからの12週間。その決意と選択。
堕胎が重罪であった1960年代フランス。相談もままならず協力者も見つからず、追い詰められていく女子学生が1度たりともお腹の生命に憐憫をみせない決意
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

3.8

「お帰り」「ただいま」が夢のように優しい山田作品。

今回は「こんにちは」
新しく知った恋する母の素顔に、新しい生き方を選んだ自分に、こんにちは。それでいいのだ!

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミントカラーの画面のあちこちを見つめながら個性派登場人物たちが繰り広げる物語を読み込むのが必死になる。
登場人物と架空の町アステロイド・シティの様子が丁寧に説明されていくのだが、ポップな映像に不似合い
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.5

激動する時代の流れに翻弄された京劇役者の運命。
少年期の厳しい修行の日々。
親も居場所もない彼らは鞭打たれ傷つけられても芸を身につけるしか生きるすべはない。
そして蝶衣となったレスリー・チャンの美しさ
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X エックス(2022年製作の映画)

3.2

トラウマになるような怖さ、ぞくぞくする面白さはない。終始流れていた不穏なTVからすべての謎は次作へ続く?

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.8

羊の放牧を生業とする夫婦のもとにやってきたものは。
禁断の欲望に仕返しをされてしまったのだろうか。
銃声が警告のように山間に響いた。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

脚本は25年以上前にできていたというが、まさにそう遠くない未来を暗示するような作品。
廃墟のような街、人間の痛覚がなくなったという設定。しかし全編通じて息苦しいほど痛々しい主人公の姿。
自らの体に生ま
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ザ・フライ(1986年製作の映画)

3.8

久しぶりの何度目か。
ジーナ・デイヴィスが黒いヒールを脱いだ時はまだ思い出せなかった。
1986年エイズの偏見に揺れる頃、ハエ男と化したブランドルを抱きしめるシーンが印象深かった。コロナを経て、抱きし
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オオカミの家(2018年製作の映画)

-

チリ発ストップモーションアニメの迫力。
…薄く下調べしたものの、ところどころ睡魔。。

劇場は満席の熱気があった。

バービー(2023年製作の映画)

3.8

マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングを楽しむコメディと思ったら、そこはグレタ・ガーウィグ作品。
毎日が完全無欠のきらきらバービーランドから人間界へ出かけると、予想外の辛辣な言葉が降りかかる。
ピン
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火祭り(2006年製作の映画)

4.0

爆竹の音がやたら鳴り響くのは、厄除けの火祭りが行われる年越しの1日。
あれよあれよとのっぴきならないものに巻き込まれていくのは結婚を控えた若い家政婦。タラネ・アリドゥスリィが初々しい。
慣習は違えど遠
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そばかす(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

曇天。海辺で遠くを眺める蘇畑佳純。
音大卒だが音楽を生業とせず、派遣社員のコールセンターを辞めて保育施設で働き始めた30歳、実家暮らし、喫煙家。
これまでに恋愛感情をもったことがない。それはそれでよい
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

3.8

終戦後11年の拘束を経て家族のもとにひとつひとつ届けられた遺言。
苦難を乗り越えていく勇気と希望を失わないこと。そして「道義を大切に」…あの時代も今も道義って何だろう。

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

映画界に君臨したプロデューサーのワインスタインは今収監されている。
封印されてしまった暴力に口を閉ざす被害者から、粘り強く事件について取材する新聞記者たち。
電話の声と後ろ姿しか登場しない彼という人物
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魂のまなざし(2020年製作の映画)

3.9

フィンランドを代表する画家のヘレン・シェルフベック53歳から61歳までの時代。
美術界から距離をおき、片田舎で絵を理解しない母と暮らしながら制作を続ける日々。鏡に映した自分の顔を見つめ確かめ絵筆をとる
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.3

2時間36分、過酷な使命を遂行するイーサン・ハントの物語。
全編息を飲むアクションの連続に、肉体を駆使して挑み続けるトム・クルーズに釘付けだった。
凄い!面白い!次作も早く観たい!満足感は一杯なんだけ
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

運命的な出会いなのか。夫殺しを疑われる女にタン・ウェイ。事件を追う不眠症の中年刑事をパク・ヘイル。     
出会ったその時、男の凝視は刑事のものか男のそれか。観ている側に女の姿を想像させながら、現れ
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.9

ウェールズの片田舎。「朝目覚める時ワクワクしたい」と牝馬に種付して仔馬を育て馬主となる計画を立てたジャン。村人たちに出資を募り共同馬主になってもらう。普段競馬に縁のない人たちが集まって、いざレースが始>>続きを読む

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

3.8

北アイルランドベルファスト。長年の宗教政治の対立で街の至る所に争いの傷跡が残ったままの地域。
「やられたらやり返せ」子どもに言い聞かせる親もいる。
高い防護用の塀に囲まれた男子小学校の「哲学」の授業、
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.8

ぼろ雑巾のようなレスリーをアンドレア・ライズボロー。
アルコールが手放せない、あてどない姿を淡々と追う。
ある偶然の出会いから再起を誓う。酒場で流れた曲にふと耳を澄ませ、触れたボトルは匂いだけにして蓋
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フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

3.6

実話に基づく、ショーン・ペン、ディラン父娘共演。
情けない男の顔を晒す父と、絶望的な眼差しで見つめる娘。そこにかすかな慈しみが残る。
向き合う二人の表情が演技を超えて見えた。

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

4.2

死んだはずの僕に朝が来る。
‥今日1日暮らせればいい。

然し信州長野の自然の中、四季の彩りとともに、その恵みを育ていただく質素で静かなな暮らしぶりは、ひとつひとつが丁寧で豊かだ。

配役、松たか子は
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.0

原作既読。

ささくれ具合は柔らかいが、
二人はよかった。
唯一無二の友。


‥遺骨を持ち歩く映画で遺灰の扱いが鮮烈だった「シッピングニュース」のことを久しぶりに思い出した。

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

4.3

威風堂々!インディージョーンズのフィナーレだ。
十八番の追いつ追われつに始まって、懐かしいあれこれが散りばめられている。
銀色のジョーンズ教授、心臓血圧大丈夫かと気にして観るのもご愛嬌。
映画館で夢中
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.8

水墨画といえば、静かな白黒の濃淡の世界と思っていた。墨の広がりが、筆の流麗な動きが、繊細で大胆な世界を創り出していく。
真っ白に対峙するそれぞれ顔が良かった。

あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

男と愛人と妻の不思議な絆。
嘘ばかりつく男とその嘘に寄り添う女、その関係をじっと見つめ続ける女。
道理に合わないあれこれの描写が、それぞれの複雑な心模様を浮かび上がらせ、どこか三人で手を繋ぎ踊っている
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グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.6

はぐれものたちの道行を痛切に描く大森監督。
アメ車と音楽が象徴的な冒頭から一気に暴走していく展開かと思いきや、混沌とした世界の閉塞感を残して幕切れとなった。
登場人物はみな濃い。