真夜中さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

真夜中

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.0

第二次世界大戦中、ナチスドイツで無線交信のため使用された暗号「エニグマ」。暗号をある変換法則により置き換えると本来の意味を得ることができる。ただしその法則は159×10の18乗通りあり、しかもそれは毎>>続きを読む

アイヒマン・ショー/歴史を写した男たち(2015年製作の映画)

4.0

『自分は他者より優秀に創られたと一度でも考えた者はアイヒマンと同じ地平にいます
そして一度でも鼻の形や肌の色や信仰する神の違いによって他者に悪意を抱いた者は
理性の喪失が狂気への道と知るべきです
この
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.3

明るいけどなんだか不穏だったな、若くして人の親になるのも大変だな、複雑な家庭環境の中で父親とこんなにも仲良く過ごせている娘にも色々思うところはあるんだろうな、などと漠然とした感想を抱きながら映画館を出>>続きを読む

(1973年製作の映画)

3.5

廬山は煙雨、浙江は潮
未だ到らざれば千般恨み消せず
到り得て帰り来たれば別事無し
廬山は煙雨、浙江は潮

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.3

とある小さな集落で起きたレイプ事件。何人もの女性が被害に遭ったが犯人は集落の男たちだった。警察に捕まった加害者の保釈金を稼ぐため、村の男たちは2日間家を離れることになった。女たちはその2日間で「村に残>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.5

どうやら人間は血中アルコール濃度を常に0.05%に保つとなんだか人生上手くいくらしい。生活のハリを失った中年高校教師4人が、とある哲学者が提唱した理論を証明するため酒を飲む、飲む、飲む。

「失敗した
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

4.3

東西冷戦時代の東ドイツ、国家保安省は反体制の疑いが掛けられた劇作家ドライマンの自宅に盗聴器を仕掛け、徹底した監視を開始する。監視担当となったヴィースラー大尉は国家に忠実で冷徹な尋問官であったが、ドライ>>続きを読む

アタック・オブ・ザ・キラートマト(1978年製作の映画)

3.5

国の失策によって巨大化したトマトが人間を襲う!やがて事態は悪化の一途を辿り人間vsトマトの市街戦へ!窮地に追い込まれた人間たちだったがある男の閃きにより予想だにしなかった結末を迎える———!

このド
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.5

ひー痛い痛い…と口に出して外に嫌悪感を発散しながらでないと観られなかった。「噛み付き引き千切る」という原始的な行為から、刺突や銃撃などの道具を使って受ける傷とはまた違った種類の痛みを想像した。
幼少期
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Nu(原題)(2003年製作の映画)

3.5

ヤングなマッツが出演しているということで観た。ラスト数分以外無声で表情の動きも少ない。それらが白黒の画面と相まって始終えたいの知れない緊張感が充満している。マッツ扮する主人公の男が死の波打ち際で良心の>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

どうしてこんなに泣けてしまったのか観てからずっと考えてたがよくわからない。
エヴリンの苦悩、ウェイモンドの葛藤、ジョイの諦念、家族や個人が抱えるシビアな問題と、それらを一瞬にしてブチ壊してしまうような
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.5

「韓国ではもし好きな人が結婚していたら好きになるのを中断しますか?」
第一言語が異なるヘジュンとソレ。ソレが発する流麗な中国語、スマホの翻訳アプリから流れる少し機械的な韓国語の音がソレの纏うほの暗い
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アワ・ボディ(2018年製作の映画)

3.5

孤高で寡黙、それでいてどこか寂しさを抱えているヒョンジュに惹かれ、彼女の後ろ姿を捉えるように走るチャヨンにとても共感した。ただ、彼女の面影をなぞり、生き方を徐々に蛇行させてゆくさまは観ていてつらい。ひ>>続きを読む

小公女(2017年製作の映画)

3.5

嗜好品を辞めれば貯金も少しは増えるだろうけど、それをよすがに生きている人間にとっては明日を生きるためのささやかな糧を自ら手放してしまうことと同義である。自分を貫く主人公と上手いこと社会と折り合いをつけ>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

声なき声を掬いあげようとする2人の記者、自分のような女性がひとりでも多く救われればと取材に応じる被害者たち、そのひとりひとりの人間の人生に思いを馳せる。素晴らしい映画でした。

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)

4.0

岩下志麻演じる瞽女のおりんの強く悲しく美しい生き様に引き込まれあっという間の2時間であった。
掟を破ってしまったことで座を追われひとり旅をするおりんの快活な気丈さとその裏にある孤独感の対比が苦しい。
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おひとりさま族(2021年製作の映画)

4.0

私も主人公のジナの日常の過ごし方と似たような毎日を送っているのでああわかるなあ……ととても共感しながら観た。母の死、浮気で離婚した父、人懐こい職場の新人、ひとりでも平気だと誤魔化しながら生きている自分>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

炎にのまれゆく巨大なウィッカーマン越しに見える燃えるような夕陽の美しさよ。異教徒の人間を生贄として捧げるのって良いの?と思ったがそこらへんを突っ込むのは野暮なんだろう。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

噂がすぐに広まってしまうような狭い島に暮らしているコルムとパードリック。現状打破のため友人関係を断つという強硬な手段に出る男と、変化を受け入れられない男。コルムのやり方は唐突なように見えるが、海の向こ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

勝手にシリアスな内容だと想像していたがかなり熱い展開であっという間に終わった。妹の勢いの良い喋り方が癖になる。
闖入してきたダフトパンクみたいな記者が突然こちらにカメラを向けてきたとき、なぜだかわから
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

初めてホン・サンス監督作品を観たが時々挟まれるカメラのズームに驚いた。登場人物たちのプライベートな会話をカメラ越しに覗き見ているようで不思議な感覚だった。
出張に出掛けた夫が留守の間、主人公のガミは昔
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中国の植物学者の娘たち(2005年製作の映画)

4.0

同性愛が病とされ、罪として罰せられる時代。植物学者の娘であるアンと、アンの父が営む植物園に実習生として訪れたミン。2人は密かに惹かれ合い、互いを愛するようになる。ただずっと一緒にいたいだけなのに世間が>>続きを読む

リアリズムの宿(2003年製作の映画)

4.0

「露天風呂もじきに沸きますから」
「露天風呂が沸くってどういうこと?」
泥酔した宿の主人が半笑いで部屋からにじり出ていくシーンが面白すぎて久しぶりに映画で大笑いしてしまった。理不尽でシュール。古くて清
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

“悲しみは使い古された喜び”
マークとカート、若い頃によくつるんでいた2人。歳を取り、身を置く環境が変わった友人同士が久しぶりに会い、山奥の温泉目指して歩く。カーラジオから聞こえてくる社会情勢を憂う討
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白河夜船(2015年製作の映画)

3.0

大昔に原作小説を読んだときは主人公がとかくよく眠るなんだかわからん物語だなあという印象だったが、安藤サクラの生っぽい演技に引き込まれて観ているこっちも息が浅くなってゆくようだった。むずがる仕草がとても>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

3.5

「愛を語るのは食後に」
「退屈してたのよ。買った本がつまらなくて」
寝台列車での腹の探り合いのような会話がお洒落で印象的だった。
追っ手から逃げる緊張感のあるシーンからエンディングへ繋がるシーンが呆気
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団地(2015年製作の映画)

3.0

「団地ておもろいなあ。噂のコインロッカーや」

最後まで観ても何が何だかよくわからなかったが、たぶん何も考えずに頭空っぽにして観るのが正解な映画なんだろう。
樋口監督はこの映画を観て斎藤工をあの役にし
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his(2020年製作の映画)

4.0

渚が迅に、玲奈が渚に自分の気持ちを吐露するシーンを交互にカットインする場面が、双方のどうしようもない感情の昂りを表しているようで観ているこちらの方も苦しくなるようだった。
妻である玲奈の葛藤にも寄り添
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吉原炎上(1987年製作の映画)

4.0

初っ端の「おおまら、こまら、ひやかしまらが来ませんように」と唱和するシーンに笑ってしまった。仁支川峰子演じる小花の喀血絶叫シーン、噂には聞いていたが本当に凄まじかった。半狂乱になった小花が身悶えしなが>>続きを読む

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)

3.5

中盤までのコミカルな展開や台詞まわしがジワジワくる面白さで引き込まれたんだが、終盤に江分利満氏がこれでもかと管を巻くシーンに「私も早く帰りて〜」という気持ちになり正直つらかった。意図的にやってるんだろ>>続きを読む

怪異談 生きてゐる小平次(1982年製作の映画)

3.0

「おちかさん、拝ませて頂きまするか。観音様の行水なさる身姿を」
「お高くつきますよ、観音様の拝観料は」

宮下順子の妖艶な立ち居振る舞いが癖になる映画だった。