自業自得とはいえ、マスコミによって影に追いやられた男と、彼に寄り添う妻との夫婦愛に触れ、信じつつも疑ってしまう。再起をかけた音楽には感動した。しかし、ラストシーン。では、真実とは何か?
知ってるようで知らない光州事件を映画的に追体験することで韓国人の歴史精神にすこしだけ触れることができた気がする。執拗なまでのお涙頂戴、こういうの好きそう。
時間に逆行する手法によって、記憶をめぐり、映画に可能な複雑さの限界まで押し進められた映像体験。
事件および前作から数年、地域住民たちの反対運動をめぐって、新たな横顔が見えてくる。インタビュー多め。
アメリカの黒人に光を当てながら、深層心理まで届く、緻密に撮られた社会派ホラー。
哲学的で難解だが、凄まじい想像力と研ぎ澄まされた世界観。
人類と宇宙、実存と科学、そして家族愛。壮大なスケールで描かれる異次元の映像体験。
辛うじて名前だけは知っていたが、中高年の生徒たちの熱狂的な支持に触れつつ、人生と文学に「全身」で取り組む姿に魅力を感じる。しかし、ガンが見つかり、やがて虚構が暴かれていく。この人こそ、嘘によって真実を>>続きを読む
記憶を書きかえられた主人公が自分を取りもどそうとする物語。アクションの要素が多く、古さのためか趣味の悪さが目立つ、それはそれでいいのだけれど。あと火星もやっぱりアメリカだった。
すべてがデジタル画面のなかで進行する斬新なスタイルだが、非常にフェアな本格ミステリ。
コメディータッチで始まり、タガが外れていくのも、瞬間的なカットや不快な効果音も、すべて計算されつくされている。
「観察映画」と銘打ち、編集を節制して、そのままの現実を切りとる。政治も選挙も大変だけど、日本ってこうだよなあ。見ようによってはカルト映画。
三島由紀夫の人間的な魅力と、この時代の独特の空気に触れることができる。当時の学生たちをはじめとする関係者の証言や有識者へのインタビューによって理解を助けつつ、深く問いかけてくる。
朝鮮戦争から現代にいたる韓国の歴史を、ひとりの男の人生を通して壮大なスケールで描く。ブームの影に隠れるこの国のもうひとつの横顔。韓国版ハリウッド式お涙頂戴…最高!
あの時代の広島を生きた女性の日常を細部まで丁寧に描きながら、物語は「その日」へ向かう。余計な説明や残酷な描写を避けることで、かえって印象に残った。焼け野原に希望が灯る。
大部分がわかりやすいスライドと科学的なデータによる講演。ちょっと前の映画だが、思っていたほど議論に古さを感じなかった。どうしても資本主義と政治に結びつくらしい。最後のビジョンとメッセージは弱い気がした>>続きを読む
スタイリッシュな映像で、データも織りまぜながら、わかりやすく(ここが危険でもある)18世紀のヨーロッパから現代のグローバル世界までの資本主義の物語を描きなおす。飛躍的な論理展開もなく、かなり絶望したが>>続きを読む
教祖なきあとのカルト教団に残された広報の青年に密着したドキュメンタリー。危ういが、ナイーヴで真面目な男。彼らがしたことを忘れてはならないが、内側から映すことによって理解できてしまう。マスコミや警察や地>>続きを読む
カッコいい三島ではない。むしろ線が細く、焦燥や失望など心の揺れが見える。私見では、彼の自決は必ずしも愛国心や狂気でなく、芸術家としての精神からだと思っているので、この描き方には納得できるところもあった>>続きを読む
戦争で両腕と両脚を失い、脳にもダメージを負った夫と、村でひとりその世話をする妻。一切のロマンティズムを排し、戦争の残酷さ、そして人間の醜悪さと悲しさを描く。強烈な反戦のメッセージ。
海外の監督たちが東京を舞台に撮ったオムニバス。ステレオタイプかと思いきや、意外にも前衛のほうに振れる。
作家と編集者にスポットライトを当てる。この手の作品はなぜかいつもあまりに華やかで、そしてあまりに儚い。セリフやシーンにセンスを感じた。ヘミングウェイやフィッツジェラルドにも会える。
韓国と北朝鮮の国境で起きた事件を第三者の立場から調査していく設定。それはまた信用できない語り手たちの記憶をたどるミステリーでもある。どうにもならない歴史的な運命のなかで、残酷にも踏みにじられる人の心。>>続きを読む
ダークな雰囲気づくりは素晴らしく、断片的だが裏社会のディテールもいい。けれど冒頭の期待感のわりに描写が粗く、話も進まず、それほど深みを感じられなかった。
人工的に限界状況をつくりだし、実存的なメッセージを浮かびあがらせようとしているのはわかるが…。
邦画特有の予定調和かと思いきや、展開が進むにつれて、どんどん闇に引きずりこまれていく。最近、韓国映画ばかり見てたけど、日本もなかなかやるなあ。
苛烈なまでに愛を求める女は外見を変えてさえそれを確かめようとするが、やがて境界線は曖昧になり…整形をテーマに、私とは誰かという古い問いを掘り下げていく。
いつもながらユーモラスなタッチで、いいようもなく重いラストへ。笑顔で裏切られ、深みに突き落とされる感覚。この監督はややエンタメ寄りだと思ってたけど、そのなかでかなり硬派なことをしていると再認識。
信用できない語り手のもとに、記憶をめぐる人間の精神、罪の問題や親子の愛を絡めながら、単なるミステリーを超えたなにかを指し示す。原作は韓国の文学。役者の演技に脱帽。
エンターテインメントとシリアスの使い分けがすごい。どうしようもなく救いのない世界の暗さを覗かせる。
セリフも舞台も最小限で静かな作品だが、監督のモチーフが凝縮されている。たぶんこれはハッピーエンド。繊細で、変態で、天才。