piputaさんの映画レビュー・感想・評価

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

こころが動く数々の瞬間。
それらを掬い上げるかのように丁寧に観察する。
毎日のルーティンを主軸に置き
日々異なる出来事を楽しむ。

空を見上げ、太陽の光や雨の匂いを感じる。
当たり前のことに感謝できる
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.7

初めてのバス・ドゥヴォス作品。

仕事帰りの最終電車
眠りに落ちる瞬間
鳥の囀りのような効果音や
玉ボケのカット…
夜なのに朝のような違和感に眩惑されながら
何処かに連れて行かれるような感覚になる。
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

3.9

そもそもこの町には秩序があったのだろうか。
一見秩序立って見えた地域社会も
本作を通して見れば秩序という虚構
実態は無秩序であったかのように思えてならない。

クジラの大きな瞳が終始付き纏う。
純粋、
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飾窓の女(1944年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フィルムノワール40年代初期もの今回初めての鑑賞。
そして今更ながら初めてのフリッツ・ラング。

あるファムファタールとの出会いがきっかけとなり
殺人を犯してしまう主人公リチャード。

友人の検事が事
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.7

労働者階級、少ないセリフ、犬…
しっかりとトラジコメディ。
ミニマルなカウリスマキの世界再び。

ベタな恋ものがたりも
カウリスマキの手にかかれば
独特な味わいになる。

姉妹バンドの救いようのない歌
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.1

これは重い。

母の残した遺書の内容に従い
死んだと思っていた父と
存在すら知らなかった兄を探すことになった双子の姉弟。
彼らを探す旅の途中で母親の壮絶な過去と
自分たちの出生の真実を知ることになる。
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あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

3.8

華やかなイメージのインド映画とはまた違った
繊細な心理描写を主軸としたラブロマンス。

旦那様とメイド

それぞれの生活の中に心情変化が丁寧に組み込まれ
ふたりの距離がどのように縮まっていくのかが見も
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.8

感情を表面化させない手法が
逆に豊かな感情表現を生む。

優しくてあたたかい
カウリスマキならではの
スペシャルな世界観を堪能できる。

どこかドライながら
ふんわりとした空気感が漂う。
そんな余白の
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

これは何度でも観たい。
衝撃的だった。

猛獣を操るビーム、絶対に的を外さないラーマ。
火と水、馬とバイク。
エネルギッシュすぎて最高にカッコイイふたり。

ビームが薬草を煎じるシーンや
ラーマのイナ
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さらば友よ(1968年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

他人を信頼できるまでには時間がかかる。
しかし極限状態に居合わせた時
出会って間もない二人に深い信頼関係が築かれる。

クライムサスペンスというよりかは
男同士の友情を描いた作品という印象。

友情な
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.4

哲学的。

そしてもう笑うしかないレベルの長回しの数々。
それらの長回しの意味を考えながら観るとより楽しめる。
完成されたショットの数々には感嘆の溜息。

人間そのものの描き方が斬新。
存在意義の明瞭
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ともしび(2017年製作の映画)

3.9

自分の立ち位置がわからなくなっていくような孤独感。
現実を直視しようとする主人公アンナに感情移入し辛くなる。
救いがない中、ともしびを探す思いで終始釘付けになった。

鑑賞前のイメージが覆された。
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.3

男は一年間女を待っていた。
しかし女は男との一年前を覚えていないという。
優柔不断な女とその女を愛す男。
男女の絡みが幻想的に描かれる。

アラン・レネ監督作品。
時間と記憶の曖昧性を
独創的な視点で
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アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

3.7

B級を感じさせる風変わりなSF映画。
映像作家ジョナサン・グレイザーによる異色作。
独特な世界観…個人的に大変好みだった。

舞台はスコットランド。閑散とした冬の街。
一際目立つ美女に声をかけられ
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忘れられた人々(1950年製作の映画)

3.9

ブニュエルによる社会派リアリズム。
事実に基づき実在する人物をモデルにしているとのこと。

貧困でいつもお腹を空かせている少年たち。
彼らを軸に大人たちとの関係性を
さまざまな角度から見つめる。

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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

与えて与えられて。
真の豊かさってなんだろう。

19世紀後半。デンマークの田舎。
敬虔なクリスチャンの村人たちが暮らす質素な漁村。
牧師であった父の後を継ぎ村人たちに寄り添う姉妹。

ある夜、フラン
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.9

稀有なこの作品を映画館で鑑賞できて本当に良かった。

生活音を全面に出す手法と少ないセリフの中で
未亡人ジャンヌ・ディエルマンの内面性を繊細に表現している。

毎日のルーティンから外れた小さな葛藤が蓄
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

どう表現したら良いかわからないが
言葉を紡ぎながらイメージを膨らませるタイプの作品。
それはさまざまな地域の子供たちのインタビューであったり
本から引用した言葉の数々であったり
或いは人と人との対話で
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ロマン・ポランスキー監督の処女作品。

本当に処女作かと思うほど洗練されたカット割。
モノクロームの画がそれを一層スタイリッシュに定着させている。

ヨット上で繰り広げられるある夫婦とひとりの青年の密
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不滅の女(1963年製作の映画)

3.7

ヌーヴォーロマン作家でもあるアラン・ロブ=グリエの初監督作品。
初ロブ=グリエ。
想像していたものとは全く違ったこの映画は
独特な演出やカメラワークを所々に拡散させた作家色の強い作品だった。

舞台は
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狼は天使の匂い(1972年製作の映画)

3.5

こんな男同士の友情もまたいいなぁと思った作品。
その友情とはどういったものなのか。
愛憎や信頼或いは尊厳などといった複雑な感情が
根底にあるものなのかはわからない。
しかし少なくともこの作品のトニーと
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.0

心理描写、映像美、脚本、カメラワーク・・・
全てにおいて芸術性の高い作品だと感じた。

冒頭からベルイマン色満載。
観賞後に振り返れば
振り子時計のクローズアップと音は
次女に残された時間を示唆してい
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迷子の警察音楽隊(2007年製作の映画)

3.8

シュールなコメディタッチのような…。
個人的には好きな世界観だが万人受けはしないだろう。

イスラエルの文化センターで演奏するため
エジプトからやってきた8人の警察音楽隊。
前日入りするが、手違いで目
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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年製作の映画)

3.8

カナダの画家モードルイスとその夫エべレットの
幸せのカタチを描いた作品。

リウマチを抱えながら
懸命に絵を描き強く生きるモードと
彼女を支えていくエべレット。

出会った当初は頑固で気の荒いエベレッ
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モダーンズ(1988年製作の映画)

3.5

観たきっかけはこの映画のサントラ。
ツボに大ハマりで何度も聴いた。
映画はどんなだろうと思って観た。

舞台は第一次大戦終結後1920年代のパリ。
ファッション、アート、カルチャー意識の高揚…
現代の
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.2

親友と束の間の気晴らし旅行を楽しむはずだったが
状況が一変し逃亡劇と化したロードムービー。
一見、軽めのアメリカンムービーを彷彿させるが
女性差別や刑罰の重さといったテーマも詰め込まれ
内容の濃い作品
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空白(2021年製作の映画)

3.7

事故で娘を亡くした父親。
娘の遺体を目の当たりにして辛い現実を突きつけられる。
娘との関係はどのようなものだったのか…
娘のことを理解しようとしなかった、理解できなかった後悔。
皮肉にもそこからはじめ
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

4.0

世界観がとてもいい。
舞台となる住宅街での人間関係は憧れかも。

若い頃、最愛の妻に先立たれ、
長い間心を閉ざしていた主人公。
隣に引っ越してきた住人たちとの触れ合いから
彼の閉ざされた心が少しずつオ
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スパニッシュ・アパートメント(2002年製作の映画)

3.4

青春群像劇という感じ。
主人公が留学先バルセロナのシェアアパートでの生活を経て
自分の進むべき道を見出す話。

多国籍の学生たちとの生活は、主人公にとって刺激的で
彼のその後の人生に大きな影響を与える
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.6

人生を変える程の苦境。
それを受け入れて前に進まなければならない。
ある日突然難聴になった男。
想定外の運命にどう乗るのか…。

聴覚障害という重いテーマを軸に
主人公の心情の変化を綴った秀作。

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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.9

何度も観てしまう。
素朴で純粋な同性愛。

舞台はアメリカ中西部にある山の中。
まずその雄大な景色に圧倒される。
母体のようなその存在と
ふたりの繊細な心情とのコントラストが心地よかった。

60〜8
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ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)

1.9

年の差不倫。
男女どちらにも感情移入し難い話だった。

トルナトーレ監督とのことで期待したが
話の盛り上がりもなく、ワクワク感もなく…。
不倫恋愛ものとはいえ、話の展開は簡単に読めるし
淡々としすぎて
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

インパクトを与えたエンターテイメントとしては成功している。

ハンニバルのように精神世界につながるような
何か深いテーマがあるのかと思ったが特に感じられなかった。
宗教自体の描き方も軽すぎて
どんな信
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