藤原豆腐店での池谷先輩が笑える。
「信じられん…俺はこの峠で死んだ走り屋の幽霊でも見たのか?一つ目の右カウンターは次の左の姿勢作りのフェイントだった。この秋名の峠を知り尽くした腹の立つくらい完璧なスーパードリフトじゃねえか」
「俺のプライドはズタズタだぜ。峠仕様の最新型のFDで10年前のボロ86に負けたなんて…あのハチロク、何者だ」
「いいけどさあ…車、商売で使ってるダサいのしかないぜ」「いいよそんなの。カセットぐらい付いてるでしょ?ナツキ、車なんてどうでもいいんだ。全然気にしないよ」「…そうか」「楽しいよきっと。わくわくしちゃうよ」
★「下りは俺が走る。死ぬ気で秋名の下りを攻めてみせるさ」「あんまり無理すんなよ。下りはワンミスが命取りになるぞ」「分かってる。分かってるけど、少しは無理しねえと…地元の意地があるじゃん」BGM - BE MY BABE
「今日も現れない…あの時のハチロク。地元の走り屋じゃなかったのか?そんなはずはない。奴は秋名の峠を熟知していた。もう一度奴に会いたい。会ってリベンジかましてやらなきゃ俺の気持ちが収まらない!出てこい、秋名の幽霊。スピードスターズなんざどうでもいい。俺はお前に会いに来てるんだ」
★「カーブで…」「カーブって言うな。だせぇから走り屋はコーナーって言うんだよ」「うん、だからそのコーナーでさ、内側に車が流れないように前のタイヤをこう流して…」「はあ?勘弁してくれよ拓海、フロントが流れるのはアンダーって言って一番格好悪いヘタクソの代表だぜ」「ドリフトってのはフロントじゃなくてリアを流すんだよ。お前っておかしいよ。最高だよ拓海」「ほんとですよね!」〈分かってないのは池谷、お前の方だよ。ドリフト中のマシンってのは基本的にアンダーステアだ。今のは四輪ドリフトをマスターしてないと言えねえすげえ高度な回答だよ。おったまげたなあ〉
「すげえなあ…空でも飛ぶんかあ?」
「んん?いつもより多いんじゃねえのか?」「いいか、こぼすんじゃねえぞ」「分かってるよ」BGM - REMEMBER ME
「今まではコーナーとも思ってなかったようなカーブまで恐ろしいコーナーに化けていく。走り慣れてるはずのコーナーがまるで別人のようにキバを剥いてくるぜ」
「気持ちは分かるが、ドラテクってのは2-3日でどうにかなるもんじゃない。どうすれば車が思い通りに動いてくれるのかを自分でとことん考え走り込むしかない。俺なんざ現役で走ってる頃は夢の中まで秋名を攻めてたぜ。テクなんてもんは教えられて身につくもんじゃねえ。自分で見つけるもんさ。悪かったな、力になれなくて」「藤原さん、また来ます」BGM - SPARK IN THE DARK
幌舞さば緒
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masatan
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MANA
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