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BLEACH 千年血戦篇の都部のレビュー・感想・評価

BLEACH 千年血戦篇(2022年製作のアニメ)
4.3
約十年振りとなる再アニメ化に相応しい完成度を誇る本作は、最終章:千年血戦篇を贅沢な資本を感じさせる力の入りを感じる筆致で描いており、原作の作画の質感を再現しながら改善策としての改変点を大きく加えることで見応えのある出来となっている。

BLEACHに漂う洒脱なセンスの再現性も目を見張るものがあるが、重厚感のある厳粛な雰囲気の中で繰り広げられる未知の敵との遭遇は明確な形ある脅威として描写され、これまで以上の事態の深刻さを感じさせる作風を保持している──保持といえば、時代の変化を感じさせない声優陣による演技も見所の一つで、立ち上がりこそ多少の違和を感じさせるものの、主役を務める黒崎一護を始めとするあの声で、原作の作画により近付いたアニメーションを目にすることが出来る多幸感は中々。作画の面ではアクションシーンの迫力も見違えるそれになっており、第一クールの山場である山本元柳斎重國とユーハバッハの戦闘シークエンスは2022年度アニメの戦闘描写としても上澄みも上澄みの出来であった。

映像表現としての構図や演出の斬れ味、そして巧みな構成による物語の的確な圧縮は物語の面白さを引き立て、この足並みの揃った映像化の完成度をより上位の域に辿り着かせている。黒崎一護のオリジンを語り終えて刃を手にするまでを最初の1クールとする締りの良さは、そのまま十分な満足感を与えることに成功している。盛り上がりという点ではこれからが本番なので今年の夏放送のシーズン2が楽しみである。
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